『6秒間の軌跡』航は星太郎が作り出した架空の存在? 高橋一生が始めた“母親探し”
先送りにするのはもうやめようと決意した星太郎がまずしようとしたことは、幼い頃に出て行った母親探しだ。もう何十年も話題にすら敢えて挙げないようにしていた母親のことをひかりがお構いなしに聞いてきてくれるから、星太郎も母親が今どこで何をしているのかが気になり始めた。変化を嫌う星太郎の時間が他者の存在によって少しずつ動き出そうとしている。
それに伴い、航の姿がどんどん小さくなっていくのが印象的だった。航が亡くなってから閉じていた星太郎の世界にいろんな人が入り込み、星太郎は孤独じゃなくなった。それは星太郎の中で航に代わる存在ができたとも言える。航自身の大きさはそれ即ち、星太郎の心に占める航の割合なのではないだろうか。だとしたら、やっぱり今見えている航は星太郎が作り出した架空の存在なのだろう。
死ぬ間際に「すまん……」という言葉を残した航の秘密、ひかり曰く星太郎の母親にそっくりだという喫茶店の店員、そして定期的に星太郎の前に現れては何かを目で訴えかけてくる少年(塚尾桜雅)。星太郎の成長とともに、それらの謎がより深まっていく。
花火は一瞬で終わってしまうからこそ、儚く美しい。されど、どうかこの瞬間が終わらないでほしいと願ってしまう。同様にこの物語の真実にも辿り着きたいようで辿り着きたくない。様々なことを先送りにしてしまう星太郎は、私たち一人ひとりの心に住みついているのだ。
■放送情報
土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30〜0:00放送
出演:高橋一生、橋爪功、本田翼
脚本:橋部敦子
監督:藤田明二(テレビ朝日)、竹園元(テレビ朝日)、松尾崇(KADOKAWA)
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、山形亮介(KADOKAWA)、新井宏美(KADOKAWA)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:KADOKAWA
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/6byoukannokiseki/
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