『名探偵コナン 黒鉄の魚影』シリーズ最大の危機が到来か? 灰原哀の“良い変化”にも期待
『黒鉄の魚影』で灰原の身に迫る最大の危機とは、やはり灰原哀の正体が組織を裏切った科学者・宮野志保=シェリーだと組織に看破されることだろう。アニメ本編でも常に灰原は組織にその正体が露見してしまうことに怯え、恐怖していた。前述した通り、今作の舞台「パシフィック・ブイ」は世界中の防犯カメラを繋ぐ施設。そのシステムが黒ずくめの組織の手に渡り、カメラの映像に映った灰原の姿を見れば、その正体にも気付かれてしまう。灰原の運命を賭けて組織とシステムをめぐる戦いになることは必至だ。
『灰原哀物語』は安室透の魅力もギュッと詰まった一作 コナンフリークが楽しめる演出も?
2022年に劇場公開された『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』がシリーズ最高の97.8億円を記録し、国民的ミステリー作品として不動…
灰原の正体が組織に露見してしまうエピソードといえば、アニメで放送された「黒の組織との再会」が思い起こされる。このエピソードでは灰原が幼児化した宮野志保であることを組織の一員であるピスコに見破られ、灰原はピスコやジン・ウォッカに命を狙われることとなる。また同じ劇場版では第13作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』で、コナンの正体が工藤新一であることが組織の一員であるアイリッシュに見破られてしまったこともあった。いずれの事件も対組織において最も緊迫したエピソードとして記憶に残っているコナンフリークも多いだろう。常にその危機を頭脳と意気で乗り越えてきたふたりが、今回はどんな形で組織と対峙するのか。これが本作最大の見どころと言えるだろう。
思えば前述した『名探偵コナン 天国のカウントダウン』では、灰原は時限爆弾が設置されたビルから飛び移る計画を確実に成功させるために自ら犠牲になろうとした。これは組織から抜け出し、人間不信に陥っていた当時の彼女を象徴するようなシーンだ。一方で『黒鉄の魚影』の予告編では、コナンに助けを求めるセリフが印象的に使われている。これは阿笠博士や少年探偵団をはじめとした周囲の友人や大人たちと親睦を深め、ひとりの人間として肯定され続けてきた今の灰原が、誰よりも信頼する仲間であるコナンにSOSを発信し、自分の命を無碍にしない選択ができるようになった証明だ。灰原哀というキャラクターが時を経て、他キャラとの関わりを通じてポジティヴな成長、変化を遂げていることにいちファンとして感動してしまうのだ。この灰原の変化に気がついたファンであればきっと予告編だけで泣けてしまうことだろう。『黒鉄の魚影』が予告編以上に灰原のポジティヴな変化を感じられる作品となっていることに期待したい。
■公開情報
『名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)』
4月14日(金)全国東宝系にてロードショー
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:立川譲
脚本:櫻井武晴
音楽:菅野祐悟
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也ほか
製作:小学館、読売テレビ、日本テレビ、ShoPro、東宝、トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©︎2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:https://www.conan-movie.jp