『Get Ready!』妻夫木聡が救う失われた30年 生き延びるべき命の意味は?

『Get Ready!』と失われた30年

 『Get Ready!』(TBS系)第2話が1月15日に放送された。ブラック・ジャックさながらの天才外科医を『ブラックジャックによろしく』(TBS系)の妻夫木聡が演じる離れ技で、観るものを卒倒させた第1話から1週間。エース(妻夫木聡)、クイーン(松下奈緒)、スペード(日向亘)、ジョーカー(藤原竜也)からなる闇医者チーム“仮面ドクターズ”が手掛ける次なるクライアントは大学理事長の坊城(柄本明)だった。

Get Ready!

 生き延びるべき命とは? 第1話で提示されたテーマが第2話ではより明確な輪郭をともなって浮き彫りになった。高額な金銭と引き換えに裏口入学を認める坊城を、息子の康之(三浦貴大)は大学の経営から排除。余命数カ月を宣告された坊城にジョーカーは手術を持ちかけるが、坊城は2億以上は出せないと断る。2億円は裏口入学で求められる金額だった。

Get Ready!

 守銭奴そのもののような坊城に生き延びる価値はあるのかと疑念を抱くかたわらで、坊城の「金のない理想など無意味」という発言にエースは引っかかりを覚える。坊城が金をかき集めていたのはへき地に病院を作るためで、残された命を使って坊城は病院建設の道筋をつけようとしていた。大学関係者にそのことを公表した直後に坊城は倒れ、坊城の言葉を聞いたエースは手術台に立つ。

Get Ready!

 あからさまな悪人とされる人間の中に救うべき部分があること。第1話の渋谷(池松壮亮)もだが、『Get Ready!』は単純な二分論から一歩進んで善悪の境界線を引き直す。患者にも共通項がある。中小企業の資産を買いあさって海外に売りさばくハゲタカのような渋谷と裏金を集めて利権を牛耳ってきた坊城は、この国にはびこる害悪の典型だ。一方で、彼らの本当の顔は日曜劇場を含むドラマ、映画で描かれたリーダー像を反映している。日本の技術を守ろうとする渋谷は『アトムの童』(TBS系)の興津(オダギリジョー)のようだし、医療格差を解消しようと奮闘する坊城は『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)の五島健助(吉岡秀隆)に通じるものがあった。

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