チェコスロバキア最後の女性死刑囚描く 『私、オルガ・ヘプナロヴァー』4月29日公開決定

『私、オルガ・ヘプナロヴァー』4月公開決定

 チェコスロバキア最後の女性死刑囚として、若干23歳にして絞首刑に処された実在の人物を描いた映画『私、オルガ・ヘプナロヴァー』が、4月29日より公開されることが決定した。

 第66回ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品を飾った本作は、2010年に刊行された原作『Já, OlgaHepnarová(原題)』をもとに、トマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダ両監督が映画化した。

 銀行員の父と歯科医の母を持つ経済的にも恵まれたオルガ・ヘプナロヴァーは、1973年7月10日、チェコの首都であるプラハの中心地で、路面電車を待つ群衆の間へトラックで突っ込む。この事故で8人が死亡、12人が負傷。犯行前、22歳のオルガは新聞社に犯行声明文を送った。自身の行為は、多くの人々から受けた虐待に対する復讐であり、社会に罰を与えたと示す。

 両親の無関心と虐待、社会からの疎外やいじめによって心に傷を負った少女は、自らを「性的障害者」と呼び、酒とタバコに溺れ、女性たちと次々に肌を重ね、しかし苦悩と疎外感を抱えたままの精神状態は一層、悪化していった。複雑な形の「復讐」という名の「自殺」を決行したオルガは、逮捕後も全く反省の色を見せず、1975年3月12日にチェコスロバキア最後の女性死刑囚として絞首刑に処された。

 撮影監督は、イエジー・スコリモフスキ監督作『エッセンシャル・キリング』にも参加したアダム・スィコラが務めた。主人公オルガを演じたのは、『ゆれる人魚』『マチルダ 禁断の恋』への出演で知られるポーランドのミハリナ・オルシャニスカ。オルシャニスカは、チェコ・アカデミー賞主演女優賞をはじめ多くの賞に輝いた。

 端正な容姿でオルガを一瞬で虜にするイトカ役には、チェコのマリカ・ソポスカー。女友達のアレナ役には、『ゆれる人魚』でミハリナと姉妹役で共演したポーランドのマルタ・マズレク。ほかにも、我が子に嫌気が差している母親役にクララ・メリスコバ、そして、オルガの事件前に一緒に過ごすことになる、おしゃべりで酒好きな中年男ミラ役にはマルティン・ペシュラットが名を連ねた。

 チェコ、ポーランド、スロバキア、フランスの資金調達により7年もの歳月をかけて映像化された本作は、2017年にジョン・ウォーターズ監督の年間ベスト映画の1作品にピックアップされた。

映画『私、オルガ・ヘプナロヴァー』ティザー予告編

 あわせて、日本版ティザービジュアル、ティザー予告編、場面写真も公開。ティザー予告では、映像にあわせてオルガが綴った手紙の内容が読み上げられている。

■公開情報
『私、オルガ・ヘプナロヴァー』
4月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本: トマーシュ・ヴァインレプ、ペトル・カズダ
原作:ロマン・ツィーレク
撮影: アダム・スィコラ
編集:ヴォイチェフ・フリッチ
美術:アレクサンドル・コザーク
衣装:アネタ・グルニャーコヴァー
出演: ミハリナ・オルシャニスカ、マリカ・ソポスカー、クラーラ・メリーシコヴァー、マルチン・ペフラート、マルタ・マズレク
日本語字幕:上條葉月
字幕監修:ペトル・ホリー
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
2016年/チェコ・ポーランド・スロバキア・フランス/105分/B&W/5.1ch/1:1.85/DCP/原題:Já, Olga Hepnarová

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