『舞いあがれ!』古舘寛治×葵揚、工場で積み重ねてきた理想の師弟関係 結城の決断は?
『舞いあがれ!』(NHK総合)第63話で、舞(福原遥)が工場を手伝い始めてひと月がたった。事務員の山田(大浦千佳)からは嫌味を言われてしまったが、舞は仕事に慣れていき、従業員の垣内(うえだひろし)からは「手際ようなったわ」と声をかけられていた。
第63話の後半、舞は会社が厳しい状況にある中で尽力する父・浩太(高橋克典)の立場をパイロットになぞらえた。「責任が重くて大変やけど仲間がおるから頑張れるんやろ」「みんなで乗り越えられたらええな」という舞の言葉は、浩太の険しい表情をほぐし、彼の背中を押した。
株式会社IWAKURAがこの難局を無事に乗り切れるかどうかも気になるところだが、第63話では、工場に長年勤めている結城(葵揚)が見せた苦悩と、結城の苦悩にいち早く気づく笠巻(古舘寛治)、この2人の関係性が印象的な回となった。
18歳から笠巻さんのもとで仕事をしている結城さんにとって、笠巻さんはずっとお手本でした。
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— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) December 28, 2022
今後どのように仕事のコストパフォーマンスを上げていくか、従業員同士で意見を出し合う中、思い詰めた表情を浮かべていた結城。笠巻はそんな結城の姿に違和感を覚え、気にかけるように彼の背中に目をやる。仕事が終わると笠巻は「どないしてん。何悩んでんねん」と結城に問いかけた。結城は「何もないですよ」と取り繕うが、笠巻が「お前な、隠せると思うなよ。何年のつきあいやと思てくれてんねん」とぶっきらぼうに返すと、ふっと笑顔を見せ、引き抜きがあったことを打ち明け始めた。このとき、結城が見せた笑顔には「この人には適わない」といった尊敬の念が見える。
笠巻の厳しい指導のもと、技術を積み重ねてきた結城は、手本にして仕事を覚えてきた笠巻の判断に信頼を置いている。だが笠巻は、高い技術力をもつ職人に成長した結城に、自身の判断を信じるよう促す。
「俺やったら断る。けど、もう、まねせんかてええ」
「お前はもう一人前や。どこ行ったかて、立派にやっていける腕のええ職人や。自分で考えて答え見つけたらええ」
結城にとっては思いもよらぬ言葉だったかもしれないが、笠巻の言葉は結城への激励に感じられる。