『親愛なる僕へ殺意をこめて』は山田涼介史上最高の演技だった “無念”を晴らした最終回に

『しんぼく』は山田涼介史上最高の演技だった

 そこから一転、ラストで山田が見せたのはエイジとB一が統合した全く新しい人格だった。B一らしい荒っぽさやクールな態度の中にも、どこかエイジらしい愛らしさが垣間見られ、死んだはずのエイジが実はB一の心の奥底で生き続けていることが手に取るように伝わってくる。まさに希望を感じさせるシーンであった。

 B一に言わせればエイジは“ガラクタ”のようだという。だが本作において、多くの人物が相手を傷つけることでしか自身の存在意義を見出せず、アイデンティティの確立に失敗してもがき続けている中で、エイジは唯一「救い」を担ってきた存在だった。そして苦しんでいる人にとっての救いの手となることこそが、B一の父・八野衣真(早乙女太一)が本当に望んでいたことなのではないだろうか。エイジは復讐こそしなかったが、形を変えて父の無念を晴らしたのだとわかる。

 ラストで「真の意味での復讐」という難解なテーマすら内包した本作は、きっと何度観てもまた新たな発見のある作品となることだろう。

■配信情報
『親愛なる僕へ殺意をこめて』
FODにて全話配信中
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一ほか
原作:『親愛なる僕へ殺意をこめて』原作:井龍一、漫画:伊藤翔太(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
総合演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
制作著作:フジテレビジョン
©フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/shinainarubokue/
公式Twitter:@shinboku_cx
公式Instagram:@shinboku_cx

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