『森の中のレストラン』船ヶ山哲が初主演の思いを語る 畑芽育は達成感のある役に安堵

『森の中のレストラン』船ヶ山哲が思いを語る

 映画『森の中のレストラン』の公開初日舞台挨拶が11月19日、東京・新宿K's cinemaで行われ、船ヶ山哲、畑芽育、小宮孝泰、泉原航一監督が登壇した。

 本作は、人里離れた森の奥にあるレストランを舞台に、孤独なシェフ・京一(船ヶ山哲)と絶望を抱えこの森へとやってきた少女・紗耶(畑芽育)との出会いを描いた物語。

 はじめに“最後の晩餐を提供するレストラン”というテーマに着想したきっかけを聞かれた泉原監督は、「ゲートキーパーという言葉を知ったときに、映画に落とし込もうと考えて。いろいろと選択肢があって、調べていくうちに“命をいただく”みたいなところから料理に結びつけて……って、何言ってるんだろ?」と話の着地点がわからなくなった様子。すると小宮が「オドオドする気持ちはわかる」と笑い、「“生きると死ぬと”ってことですよね。大丈夫です、きっと伝わってる」とフォローし、チームワークの良さを見せた。

泉原航一監督

 演じる役について、船ヶ山は「難しかったのは、考えていることと演じていることを分離させること」とし、「娘を失ったことによって(生まれた)“死にたい”という思いを分離させた状態で、三つ星レストランで働いてきた“体が覚えている仕事を演じる”ということをしていたので」と吐露。劇中では華麗な料理姿も披露しているが、「20年くらい前に少し料理をやっていたのですが、包丁も久しぶりに持ちましたし、こんな感じだったかなっていう雰囲気だけですかね」とほほえんだ。

船ヶ山哲

 今作で中学生役を演じる畑は、「全編ずっと難しいなと思いながら撮影していた」と前置きしつつ、「リハーサルの段階からずっと監督に『中学生らしく、中学生らしく』と言われていたので、そこは試行錯誤して演じていました」と回顧。猟師役の小宮は「薪割りが難しかった」といい、聞く相手によってそれぞれまったく違う“薪割りの方法”を教えられたと苦笑い。さらに、「哺乳類のまだ生温かい肉にナイフを刺すのは、ちょっとゾワッとした」と振り返った。

小宮孝泰

 撮影の苦労話について聞かれると、船ヶ山は「ちょうど1年前にコロナがまん延しているときだったので、他の人から『撮影が止まった』という話をよく聞いていて。(ロケ地が)人里離れた森だったので、チームに感染者が出なければ安全に撮れるということで、いい面のことはあるけど、悪い面は何もないかも」とコメント。

畑芽育

 一方、「何かあります?」と船ヶ山に振られた畑は、「寒い」とポツリ。森の中で寝そべるシーンについて「土が濡れてて……」と上目遣いで監督に訴え、「ふふふ」と笑みをこぼす一幕も。さらに小宮が「犬もまた言うことを聞かないんだよね」と続けると、「そうなんですよ」と頷く畑。実は、この犬はオーディションで選んだことが明かされ、泉原は「出会ったときは、いい犬だったんだけど」と話して笑わせた。

 本作が長編デビュー作かつ初主演作となる船ヶ山は、「撮影中は、とにかく逃げたらダメだ、逃げたらダメだと。一つひとつを確実にこなしていくだけで、楽しむ余裕がなかったんですね」と本音を明かし、「試写を初めて観させていただいたときに、“あのとき楽しかったな”と当時の記憶がふと蘇ってきて。あとからじわじわ感じることができたので、数日後、また劇場で観て、もう一回思い出に触れたいと思っています」と挨拶。

 畑は、「思い返してみると大変なシーンもすごく多かったし、今まで演じてきた中で一番暗い、重苦しい役なのかなと思うんですけど、演じきったあとにすごく達成感のある役柄でした」と充実の表情を浮かべ、「作っている間は『どういうふうに完成するんだろう』と先が不安になることも多かったけど、すごく映像が綺麗で、素敵なお話だなと思えたので、頑張ってよかったと思うし、みなさんに観ていだけて嬉しいです」と、笑顔で締めくくった。

■公開情報
『森の中のレストラン』
新宿K’s cinemaほかにて公開中
出演:船ヶ山哲、畑芽育、奥菜惠、谷田歩、佐伯日菜子、染谷俊之、森永悠希、小宮孝泰
プロデューサー:大谷直樹
脚本:幸田照吉
監督:泉原航一
制作:ザロック
配給:NeedyGreedy、フルモテルモ
2022年/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/92分
©森の中のレストラン製作委員会2022
公式サイト:https://mori-rest.com/

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