『舞いあがれ!』浅田芭路に感じる無限の可能性 雄大な青空とばらもん凧も物語の主役に

『舞いあがれ!』浅田芭路の演技に驚くばかり

 舞が大阪に帰るのを寂しそうにしている一太の姿からは、2人が大きくなってまた再会した時にはどんな反応をするのだろうと思わず考えを巡らせてしまう。舞が五島に移住してからの1カ月は、めぐみにとっても、祥子にとっても、過去の失敗から次に向かう期間だった。「これからはうちがちゃんとやるけん」(めぐみ)、「頑張り過ぎんことせんと」(祥子)と自分の気持ちに素直になる2人。後ろめたい空気が漂っていた1カ月前の港とは違い、そこには晴れやかな和解が確かにあった。舞も安堵の表情を浮かべている。

 フェリーから別れを名残惜しそうにして、祖母に大きく手を振る舞。帰路の途中、舞はめぐみに長崎から大阪まで飛行機で帰りたいとお願いをする。以前までの舞であれば、母の気持ちを考えてそんなことを聞いてみようとも思わなかったであろう。そこには、ばらもん凧の先に見た空への憧れーーやってみたいという気持ち、そして自分に正直になることが込められている。

 『舞いあがれ!』がスタートして2週間。柔らかく、優しい物語の本作を象徴する一人として、舞を演じる浅田芭路の演技に日々驚かされてばかりだ。五島に移住する前の東大阪での舞と、第10話の満面の笑みを浮かべる舞を見比べてみるとその違いは一目瞭然である。心情の変化のグラデーションをゆっくりと繊細に描く。それを演技として体現している浅田の才能には俳優としての有望な未来を予感させる(浅田本人のTwitterを見れば、五島での等身大の姿にまた癒されるはず)。

 東大阪へと帰ってきた舞は、初めて乗った飛行機にすっかり魅了されていた。第3週「がんばれ!お父ちゃん」では、舞が父・浩太(高橋克典)が抱く夢を聞く。予告のラストには大学生となった舞(福原遥)の姿が。舞の幼少期の物語ももうすぐ終わりを迎えようとしている。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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