『魔法のリノベ』間宮祥太朗、『じぞ恋』田中圭も シングルファザー設定のドラマが増加?

シングルファザー設定のドラマが増加?

 工務店で営業のバディとして働く男女を描いた『魔法のリノベ』(カンテレ・フジテレビ系)は、お仕事ドラマと恋愛要素の2つの側面で面白さを発揮している。本作での複雑な恋愛関係の中心にいる小梅(波瑠)の相手となるのが、間宮祥太朗演じるバツ2のシングルファザー・福山玄之介だ。

 近年、シングルファザーが登場する作品が続いていないだろうか? 2021年の『#家族募集します』(TBS系)は共同生活をしながら5歳の息子を育てるシングルファザー・赤城俊平(重岡大毅)が主人公だ。さらに2022年、4月クールの『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系、以下『じぞ恋』)でヒロインの相手役となったのが、バツイチで7歳の息子を持つ東村晴太(田中圭)。かいがいしく子供の宿題を見たりご飯を食べさせたりする、優しさあふれる父親像は今も瞼に焼き付いている。そして今回、夏クールでは上記の通り『魔法のリノベ』の玄之介がいる。

 これまでもシングルファザーのキャラクターが活躍する話が共感を呼び、注目を集めることは多かった。中でも、草彅剛が主演を務めた2004年のドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ系)や織田裕二主演で2013年に放送された『Oh,My Dad!!』(フジテレビ系)などは印象深いだろう。これまでの作品では、シングルファザーである設定を全面に出し、子どもとの絆や向き合い方を説く視点が多かったことが特徴的だ。これに対し、昨今の作品群は、子どもとの絆はすでに確立されており、新たな恋や新しい家族の物語に向かっていくまでが描かれている。こと『じぞ恋』『魔法のリノベ』に関しては、シングルファザーであることが作中で特別なこととして取り上げられるわけではなく、生き方の選択の一つとして描かれているように感じられた。

 ではこうしたキャラクターが活躍している理由はなんだろうか。もちろん、生き方の多様性、社会の多様性の広がりは背景にあるだろう。加えて感じたのは、父親が懸命に子どもと向き合っている姿には、その人物の素の部分が色濃く表れているのではないか。バラエティでも、アイドルグループ・ジャニーズWESTが『パパジャニWEST』(TBS系)として父親役を担う番組が人気を博すなど、いつもとは違った表情が多くの人の心を惹きつける。実際、ここで魅力を発揮していた重岡は『#家族募集します』の中でも、子どもとスムーズなコミュニケーションが取れて、優しく暖かい印象を見せることで、キャラクターや役者本人の魅力をより強く引き出せた側面があるだろう。

 こうして幅広い背景を持つキャラクターがドラマに描かれることは、現代を生きる人々にとっても生きやすい世の中を作るきっかけになりうる。ドラマが世相を反映し、アップデートしていく様子を見ながら、私たちも作品から学び、考え、時には疑問を見つけながら価値観をブラッシュアップしていくことができるのだ。今回を一例として、ドラマのキャラクターは今、型にはまらない魅力的な役がどんどん増えていっている。『魔法のリノベ』を筆頭に、そんなヒロイン・ヒーローたちの活躍をこれからも応援していきたい。

■放送情報
『魔法のリノベ』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:波瑠、間宮祥太朗、金子大地、吉野北人(THE RAMPAGE)、SUMIRE、本多力、山下航平、YOU、近藤芳正、原田泰造、遠藤憲一
原作:星崎真紀 『魔法のリノベ』(双葉社 JOUR COMICS)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
主題歌:ヨルシカ「チノカテ」(ユニバーサルJ)
音楽:瀬川英史
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、伊藤茜(メディアプルポ)、田端綾子(メディアプルポ)
監督:瑠東東一郎、本田隆一
制作協力:メディアプルポ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/mahorino/
公式Twitter:@mahorino8
公式Instagram:@mahorino88

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