『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』で再確認! 麦わらの一味の結束の強さ

 8月13日21時からフジテレビ系『土曜プレミアム』で放送される映画『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009年)は、尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』(集英社)を原作にしたテレビアニメの劇場版第10作。劇場版ならではの強敵を相手にしたルフィたち麦わらの一味の戦いぶりを楽しめるのと同時に、航海士としてルフィを支えてきたナミの仲間を思う強い気持ちに触れられる、驚嘆と感動に溢れた物語だ。

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

 映画は冒頭、まるで怪獣映画を観ているかのようなシーンが連続する。森の中を巨大なワニに追いかけられているルフィ。ところが、そのワニが巨大なタコに撃退され、タコは巨大なカマキリに切り刻まれ、さらに巨大なクマが現れ……といった具合に、次から次へと怪物たちが登場してバトルを繰り広げる。映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で恐竜たちが見せた弱肉強食の戦いを、先取りしたかのような迫力のシーンだ。

 別の場所では、ニコ・ロビンとフランキーとブルックがどう猛なアリの大群に襲われ、ブルックが凄まじい剣戟を繰り出して危機を切り抜ける。ゾロもサンジもウソップも別々の場所にいて、バラバラになっている麦わらの一味の中、ナミだけがひとり怪物に襲われず、水着姿となってプールで優雅に泳いでいる。目にも嬉しいサービスシーンかと思ったら、扉を開けて奇妙な3人組が入ってきてダンスを披露し始めた。

 その真ん中に立っていた男こそが金獅子のシキ。映画『ONE PIECE STRONG WORLD』でルフィたち麦わらの一味の前に立ちふさがる敵だ。声を演じているのは俳優の竹中直人で、不敵で凄みがあって好色さも覗かせるシキというキャラクターに、生き生きとした存在感をもたらしている。

 海賊王ゴール・D・ロジャーと同じ時代に大暴れしていた伝説の大海賊だったシキは、ルフィの祖父で海軍中将のガープと戦って敗れ、大監獄インペルダウンに投獄された。そこで悪魔の実の能力を封じる海楼石につながれた両足を自ら切断し、史上初めてインペルダウンを脱獄して行方をくらませて20年。海賊団を従えて現れたシキは、サウザンドサニー号で「偉大なる航路(グランドライン)」を進んでいた麦わらの一味と遭遇する。

 シキは、その場にいた誰よりも早く天候の異変を察知したナミに目を付け、自分の配下に加えようとしてサウザンドサニー号を「フワフワの実」の能力で浮かせ振り回し、ナミだけをさらってルフィたちを空に浮かぶ島々に放り出す。冒頭のシーンは、そこに現れた巨大な動物や昆虫に襲われたという流れ。精鋭が揃う麦わらの一味だけあって、怪物を退け合流してナミを取り戻そうと動き出すが、物体を空中に浮かせる能力を持ったシキはなかなかの強敵だった。

 アラバスタでクロコダイルを退け、スリラーバークでゲッコー・モリアに勝利したとはいえ、四皇にはまだ遠く及んでいなかった時代のルフィはシキに苦戦する。命すら奪われそうになった時、ナミがその身を投げ出して仲間を救おうとする。2009年の公開時にこの行動を見た観客は、「あのナミが」と大いに感激し、同時に不思議に思った。

 ナミというキャラクターは、したたかで財宝に目がなく、仲間だって見捨てそうな雰囲気を漂わせていた。『ルパン三世』でいうところの峰不二子のようなポジション。それが、『STRONG WORLD』では、仲間を救うために自分の身をシキに差し出して構わないといった態度を見せる。そこにあるのは、ルフィたち仲間への信頼だ。何があっても仲間を信じる気持ちを絶対に失わないルフィと旅をして来たことで、ナミも仲間を信じる気持ちを強く抱くようになっていったのだろう。

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