仲間由紀恵、松雪泰子、松嶋菜々子 母親から朝ドラヒロインに受け継がれる“バトン”

母親が朝ドラヒロインに受け継ぐ“バトン”

「どうせうちは幸せになれない。うちなんか死んでしまった方がいい」

 幼い頃から悩み続けている“熱”の原因が東京の病院に行っても不明。どうしてうちだけ……?

 塞ぎ込む娘・比嘉歌子(上白石萌歌)の言葉を聞いて、母の優子(仲間由紀恵)は一瞬、手を上げそうになるが、すぐに抱きしめる。そして「幸せになることを諦めないで生きていかないといけないわけ。そうしたら必ず『生きていてよかった』って思える時が来る」と諭した。『ちむどんどん』(NHK総合)第50話の冒頭シーンだ。

 今まで、優子が感情をあらわにする描写がなかったため、この行動には驚いたが、1944年の沖縄大空襲を経験し、最愛の夫・賢三(大森南朋)も亡くした彼女にとって、簡単に「死」を口にした娘を許せなかったのかもしれない。優子が手を振り上げたときの表情は、怒りではなく、寂しさ・悲しみが刻まれていたように思う。

 今回優子が歌子に発した「みんなうまくいかないことがある」といった言葉のチョイスや(歌子とみんなをくらべるのはちょっと……)、そもそもダメ兄貴の賢秀(竜星涼)に甘すぎる件など、ツッコミどころも多い彼女だが、本作では、おおらかで明るい優子を、仲間が好演しているのが印象的だ。時には泣かされたり、時には明るい気持ちになったり、あるいは「お母ちゃん何やってんの!」と注意したくなったり……。その類まれなる演技力とポテンシャルを生かして優子を見事に演じ切っている。

 仲間といえば『TRICK(トリック)』(2000年~/テレビ朝日系)シリーズや、『ごくせん』(2002年~/日本テレビ系)シリーズなど、20代から名作に出演し続けてきた現在42歳の俳優。朝ドラでは、そんな彼女のように、20代の頃からドラマ・映画で主役クラスを張っていた俳優たちが、時を経て母親役を演じるケースも多々ある。年月が過ぎれば当たり前のことなのだが、なにか感慨深いものを感じる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる