『ちむどんどん』房子と賢三の過去が明らかに サブタイトルに隠されていた今週のヒント
ヒロイン・暢子(黒島結菜)が、コース料理のメインディッシュを作る「ストーブ前」への挑戦権獲得を目指した『ちむどんどん』(NHK総合)第10週。そのヒントは今回もサブタイトルに隠されていた。
第50話では、暢子が心配する中、ついに妹・歌子(上白石萌歌)の検査の結果が出た。幼い頃から頻繁に熱を出していた歌子。意を決して東京の病院で診てもらったものの、結果は「原因不明」。大きな病気が見つからなかったことは良かったが、原因が分からないのであれば解決のしようがない。
将来への焦り、また周りに迷惑をかけてしまうことへの罪悪感から、歌子は思わず「うちなんか死んでしまった方がいい」という言葉を口にしてしまう。そんな歌子を、優子が初めて感情的に叩こうとした姿が印象的だった。子どもたちがどんな選択をしようと見守り続け、あの賢秀(竜星涼)にすら一度も手を挙げなかった優子。ただ唯一、幸せを諦めることだけは許せなかったのだ。
この1週間を通して本作が伝えたかったことは、前話で田良島(山中崇)が放った台詞に集約されている。
「“明日はきっといい日になる”と思うことが大事」
世の中は理不尽なことだらけで、努力が必ず報われるとも限らない。それでも、希望は捨てないこと。優子は歌子が自分の幸せを見つけるまで、ずっとそばにいることを誓う。
その光景を目の当たりにした暢子は、みんなに歌子の好物である“イカスミジューシー”を振る舞う。イカの墨を使用した沖縄の米料理で、滋養強壮の効果があると言われている。まさに病気がちな歌子にぴったりの料理だ。そんな好物を口にした歌子は「生きてて良かった」という料理人にとって最高の褒め言葉を暢子に送る。一方、暢子はそのイカスミジューシーを応用した、イカ墨パスタで「ストーブ前」への挑戦権を得るのだった。
決して華やかではない見た目とは裏腹に、深い味わいのイカ墨パスタは二ツ橋(高嶋政伸)の心をも動かし、彼は辞職を撤回。「人生も料理も、見た目より中身が大事」と、房子(原田美枝子)の右腕でいることを決意する。かたや、終盤では房子が二ツ橋を引き止めなかった理由も明らかに。