『やんごとなき一族』掘り起こされる根深い闇 渡邊圭祐×松本妃代、政略結婚の成れの果て

『やんごとなき一族』掘り起こされる根深い闇

 真実の愛を貫く結婚か、家のための結婚か。究極の選択を描いた『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第3話では、大介(渡邊圭祐)とリツコ(松本妃代)夫婦の不破と政略結婚の成れの果てが描かれる。

 健太(松下洸平)は専務として重要なプロジェクトを任されるようになる。しかしそのプロジェクトを円滑に進めるには、弟の大介が政略結婚した相手・リツコの実家であるザラスホテルグループと円満でいなければならなかった。問題の大介とリツコは愛のない夫婦。それゆえ大介は浮気を繰り返し、リツコは満たされない心に苦しんでいた。健太のプロジェクトの進行中に、大介の何度目かの浮気が発覚しリツコは離婚を決意する。佐都(土屋太鳳)はそんな大介とリツコの心を慮って離婚のため背中を押すが、それが健太のプロジェクトの足を引っ張ることにもなってしまう。

 お金はあるが愛がない大介とリツコの夫婦関係。深山家のようにビジネスが家柄と大きく関わってくると、政略結婚をしなければならないケースも実は未だに残っているだろう。しかしあまりに現代の価値観とかけ離れた大介とリツコの夫婦関係は、継続していくのが難しいものかもしれない。特に、リツコのように何不自由なく暮らせて、欲しいものはなんでも手に入る環境にもかかわらず、たった一つ、一番そばにいてほしい相手の“心”が手に入らないというのは何より苦しいことだろう。大介もリツコもお互いに愛し合おうと歩み寄ったが、結局、その気持ちが叶うことはなかった。リツコの寂しさは、お金を使ってどれだけ物を買っても拭えないものだ。大介との出会いは「一目惚れ」だったと語るリツコの切ない瞳に心が痛む。

 恋愛結婚を押し切った健太と佐都夫婦と対比のように描かれた大介とリツコ夫婦。健太と佐都の夫婦円満ぶりを見ると、愛を貫き結ばれることの充足感が身に染みる。しかし、それで終わらないのが深山家なのである。

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