黒木華がついに“マフラー=鎧”をとる 『ゴシップ』最終話で凛々子に訪れた自立の時

『ゴシップ』最終話で凛々子に訪れた自立の時

 絶望した時に、寄り添ってくれた人がいたとしたらーー、誰だって、その人を特別に感じてしまうのではないだろうか。瀬古凛々子(黒木華)が、仁和正樹(安藤政信)を特別視してきた理由も、そこにあった。母を亡くした時、優しく話を聞いてくれたのが、仁和だったのだ。それだけでなく、「何をすべきか分からなくなった」と言う凛々子に、進むべき道を与えてくれた。

 自分の人生なのに、自分の足で歩いていない。凛々子は、そんな葛藤を抱くこともなく生きてきたのかもしれない。無茶なことを言われても、仁和の希望を叶えるために全力を尽くす。「カンフルNEWS」編集部という大切な場所が奪われても、仕方がないと諦めて。仁和頼みの人生を送るうちに、彼の命令でしか動けない大人になってしまっていたのだろう。そんな凛々子に、ついに自立の時がやってくる。

 『ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)最終話。生田絵梨花演じる女子大生・向井未央が、物語を大きく動かした。ちなみに、生田は本作が乃木坂46卒業後ドラマ初出演。『イチケイのカラス』(フジテレビ系)の時にも思ったが、彼女はとにかく内に秘めた闇を表現するのがうまい。普段は明朗快活なイメージのため、ギャップを感じる人も多いのではないだろうか。

 生田が本作で演じた未央は、とくに表現するのがむずかしい役柄だったように思う。クスノキ出版の社員に性的暴行を受けた上に、その告発を一度無下にされている。そのため、他者を疑うような目や、時折怯えるような仕草。さらに、二度の告発を決意した意志の強さも表現しなければならない。「カンフルNEWS」の部員たちが、必死に証拠集めに奮闘してくれても、どこか斜めに見てしまう。涙を堪えて、「PVでしたっけ。それ、稼ぐため?」と問いかける瞳からは、未央がどれだけの傷を負ったのかが伝わってきた。

 凛々子も、そんな未央のまっすぐな瞳に心が打たれたのだろう。これまで、PV数のことしか考えていなかった彼女が、その先にある“未来”を見ることができた。「PVが伸びるということは、それだけ読んだ人の心が動くということ。あなたの声が、多くの人に伝わるということだから」。

 ただ、いくらPV数を稼げると言っても、社内の問題を記事にするのはリスクが大きい。それでも、凛々子は「誰かにとっては不都合な事実でも、別の誰かにとってはかけがえのない事実」という考えを貫き通した。どんな時でも矛盾がないからこそ、「カンフルNEWS」の部員たちも彼女について行こうと思えたのだろう。

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