それぞれの“片想い”が描かれる『その年、私たちは』 友達に戻った元恋人の今後にも注目

 関係性に決着をつけられずにいるチェ・ウン(チェ・ウシク)とクク・ヨンス(キム・ダミ)だけでなく、それぞれの“片思い”が描かれたNetflix配信中の韓国ドラマ『その年、私たちは』の第9話と第10話。

 キム・ジウン(キム・ソンチョル)は、ヨンスへの恋心に蓋をするための計画を実行してきた。ある時は他の人を好きになろうと努力し、ある時はヨンスを避けて気持ちが高まらないように抑えた。けれども、ウンからヨンスと別れたと聞けば、喜んでしまう自分にも気付いていただろう。計画通りに生きるのはジウンらしくもあるが、恋は思い通りにはいかない。だからこそ、何が起きるかわからないドキュメンタリーを撮ることが、ジウンの心に変化をもたらしている。部下のチョン・チェラン(チョン・へウォン)にヨンスが好きなことを見透かされて「秘密にしてくれ」とはにかみながら答えるジウン。好きな人との秘密の共有が、こんなにも嬉しくないのはチェウンの片思いが確定したから。仕事では感の鋭さを評価されても、好きな人の知りたくないことまでわかってしまうのは切ないものである。

 NJ(ノ・ジョンウィ)もウンに片思いをしているひとり。前回、ヨンスは知れば知るほど魅力的だと書いたが、ウンには距離が縮まる度に惹かれてしまう引き出しがたくさんある。自分のことをよく知らないのに知ったつもりであることないことを噂されるNJに対し、ウンは「自分が自分の理解者であればいい」と言葉をかけた。これは芸能人のNJだけではなく、誰にでも当てはまることだ。特にSNSの時代に生きる私たちは、多くの人に見てもらえる分、認めてもらいたいと思ってしまう。それによって、自分を苦しめる経験があった人もいるだろう。赤の他人に惑わされず、自分を信じてあげることが自分を救うのだ。現代に馴染んでいるようには見えないウンだが、「理解をされようとしなくていい」ときっぱりと言えるウンはカッコいい。物事の核心をつき、必要な時に必要な言葉にして伝えられる人物であり、誰かにとっての唯一無二の存在になれるのがチェ・ウンだ。

 心の状態に合わせた言葉をくれる姿にNJは惹かれ、感情をあまり出さないジウンにとっては家族のことで辛そうな時にはそっとそばにいてくれる相手であり、ヨンスの住む世界にもあたたかな光を差したウンに、皆どれだけ救われてきただろう。それにしても、ウンの性格は天性のものではないようにも思われる。あんなにも優しい両親がいつもウンに申し訳なさそうにするのは、何か悲しい思いをさせてしまった過去が見える。だからこそ、ウンは絶対的な優しさを持ち合わせているのかもしれない。

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