『スパイダーマンNWH』コロナ禍で快挙 『マトリックス』など大人向けシリーズは苦戦

 さて、ほとんど『スパイダーマン』一強となっている現状で、北米興収ランキングの第2位となったのは『SING/シング:ネクストステージ』だ。ミニオンズでおなじみイルミネーション・エンターテインメントが手がけたミュージカル・アニメーション映画で、2016年の前作も大ヒットした。本作は12月22日に北米で公開され、24日~26日の3日間では2376万ドル、22日~26日の5日間では4100万ドルを記録している。

『マトリックス レザレクションズ』(c)2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED

 一方で厳しい試練を受けているのは、大人向けの人気シリーズ最新作だ。キアヌ・リーブス主演、人気SFアクションの18年ぶりとなる第4作『マトリックス レザレクションズ』は第3位での初登場だが、12月22日からの3日間で1200万ドル、5日間で2250万ドルを記録。ワーナー・ブラザースは5日間で4000万ドルとの期待を寄せていたが、これを大きく下回る結果となった。本作はワーナーが年間を通じて取り組んできた、劇場公開日にHBO Maxでの同時配信を実施する取り組みの最終作。この戦略は1年を通じて、スタジオにも映画館にもネガティブな作用をもたらしたと言わざるを得ない。

『キングスマン:ファースト・エージェント』(c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 マシュー・ヴォーン監督による人気スパイ・アクションの前日譚映画『キングスマン:ファースト・エージェント』も同じく辛い状況にある。本作は12月22日からの3日間で635万ドル、5日間で1002万ドルを記録。こちらもスタジオの期待を下回った。当初は2019年11月の公開予定で、度重なる延期を経て2年越しでの公開となっただけに、広報・宣伝にもかなりの金額が費やされてきたはずだ。『マトリックス』も『キングスマン』も、世界や業界の情勢が異なれば違った結果を生んでいたと考えられるだけに、このような興収にとどまったことが非常に惜しい。

 そのほか注目しておきたいのは、前週の第3位から第6位へと下落したものの、興収成績は前週比わずか23.4%減にとどまった『ウエスト・サイド・ストーリー』だ。3週目ながら強力な粘りを見せている。また、拡大公開により前週の第14位から第7位に急上昇したのが、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作『Licorice Pizza(原題)』。こちらは公開5週目となる。

 なお、第5位の『American Underdog(原題)』は『シャザム!』(2019年)のザッカリー・リーヴァイが主演したスポーツ伝記映画。デンゼル・ワシントン監督&マイケル・B・ジョーダン主演『A Journal for Jordan(原題)』は第8位での初登場となった。

 トップ10から姿を消したのは、公開2週目ながら第11位となった『ナイトメア・アリー』で、北米累計興収は540万ドル。第12位には『ゴーストバスターズ/アフターライフ』、第13位には『ハウス・オブ・グッチ』、第14位には『エターナルズ』が続いた。

北米映画興行ランキング(2021年12月24日~12月26日)

1.『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
8150万ドル/4336館/累計4億6733万ドル/2週/ソニー

2.『SING/シング:ネクストステージ』
2376万ドル/3892館/累計4100万ドル(22日公開)/1週/ユニバーサル

3.『マトリックス レザレクションズ』
1200万ドル/3552館/累計2250万ドル(22日公開)/1週/ワーナー

4.『キングスマン:ファースト・エージェント』
635万ドル/3180館/累計1002万ドル(22日公開)/1週/20世紀スタジオ

5.『American Underdog(原題)』
620万ドル/上映館情報なし/1週/ライオンズゲート

6.『ウエスト・サイド・ストーリー』
280万ドル/2810館/累計2392万ドル/3週/20世紀スタジオ

7.『Licorice Pizza(原題)』
232万ドル/786館/累計366万ドル/5週/UAR

8.『A Journal for Jordan(原題)』
220万ドル/2500館/1週/ソニー

9.『ミラベルと魔法だらけの家』
200万ドル/2800館/累計8831万ドル/5週/ディズニー

10.『’83(原題)』
176万ドル/481館/1週/Reliance Entertainment

(※本記事の興行収入データは12月27日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります)

参考

Domestic 2021 Weekend 52 – Box Office Mojo
‘Spider-Man: No Way Home’ Third-Best Christmas Ever With $31.7M US; Domestic At $467M+ & $1.05B WW – Sunday Update
‘Spider-Man: No Way Home’ Dashes To $1B+ Global For Pandemic-Era First, Is Top 2021 Title WW – International Box Office
With ‘Spider-Man’ Hoarding Christmas Box Office, Is There Room For ‘Matrix’, ‘Sing 2’ &‘King’s Man’?

■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2022年1月7日(金)全国ロードショー
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:Spider-Man: No Way Home
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