遠藤雄弥×津田寛治×松浦祐也『ONODA』鼎談 今の時代と繋がる小野田寛郎の生き様

『ONODA』で体験、小野田寛郎の生き様

より今意味のある、人の在り方を提示する

――フランスの監督が、いまこの時代に小野田の物語をスクリーンに蘇らせた意味をどう感じていますか?

津田:僕の中では小野田さんって、大和魂を持って帰ってきた人だと思ってるんです。高度成長期で日本がいろんなものを手に入れる一方で、どんどんなくなっていったものもあった。戦争云々じゃなくて、本当の意味での大和魂、日本の神話から始まるような、日本独自の歴史のなかで培われてきた日本人というものを、小野田さんは持ち帰ってきてくれたのかなと。でもそのときの日本とはやっぱり温度差があって。でもそこから長い時を経て、意外と今のネット時代の若い人たちって、日本のことにも興味を持っているから、そうした方々がこの小野田の物語を見てどういう思いを持つのかなと、ひとつ大きなものがあるんじゃないかと思います。

――小野田の、孤独のなかでの闘いは。

津田:それももちろんあります。特にそこは今の時代にすごくフィットしている気がします。これからは集団ではなく個々の時代。個人個人がどう生きたいのか、どういう思いで仕事をやっていくのか、そうした個々の考え方が、全体にとっても重要になってくる。小野田さんは、まさにイチ個人として突き詰めたものを持って帰ってきたとも捉えられます。今の時代と小野田さんの生きざまはリンクするんじゃないかな。たくさんあるうちの、ひとつの羅針盤になるんじゃないかという気がします。

遠藤:この映画で監督がひとつ提示していることは、人の在り方だと思うんです。小野田さんの史実を忠実に描いてみなさんに伝えるというより、小野田さんをモチーフにして、極限状態のさなかで人はどうなっていくのか。どういう感情が生まれて、どういう顔をして、どんな気持ちになるのか。この作品、本来は去年のカンヌ国際映画祭を目指してたんです。それがコロナ禍になって今年にズレましたが、僕は逆によかったのかなと。人の考えや思いが意図せず分断されてしまう恐れのある時代のなかで、こうした人の在り方を提示するような作品は、みなさんに届くタイミングとして、より意味があると思いました。

松浦:いや、さすがですね。もう僕は足すことがないんですけど……。あと、3時間くらいいいですか?

遠藤:本編と同じ尺じゃないですか(苦笑)。

松浦:お二方も言われましたが、リアルな小野田さんの伝記を描こうという映画ではない気がします。個人個人がどう極限状態で過ごしてきたか、どういう心理状態に置かれて、どう人間が変化していくかを描いた映画。なおかつ史実にも結構即している。歴史でも本来は近現代史が一番僕たちの生活とリンクしていて大切な気がするし、そういう意味でも今の若い世代の人たちがこの映画を観て何を思うのか、イチ観客として知りたいです。

――前半と後半で全く違う色合いになりますが、でもきちんと繋がって観えました。

津田:みなさん仰るんです。なにか映画の神様がいたのかなと思います。

>>イッセー尾形が語る、『ONODA 一万夜を越えて』

■公開情報
『ONODA 一万夜を越えて』
全国公開中
出演:遠藤雄弥、津田寛治、仲野太賀、松浦祐也、千葉哲也、カトウシンスケ、井之脇海、足立智充、吉岡睦雄、嶋田久作、伊島空、森岡龍、諏訪敦彦、イッセー尾形
監督:アルチュール・アラリ
制作:bathysphere productions
配給:エレファントハウス
(c)bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinema
公式サイト:https://onoda-movie.com

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