『FGOソロモン』は作家の個性が光る一作に 拡大し続ける『Fate』シリーズの可能性

 スマートフォンアプリゲームを原作とする映画『Fate/Grand Order -終局特異点 冠位時間神殿ソロモン-』が公開中だ。『Fate』シリーズはアニメ・ゲームファンを中心に根強い人気を誇っており、すでに作品シリーズを超えて、一つのジャンルとして多くの人に愛されている。『Fate/Grand Order』(以下FGO)もスマートフォンアプリゲームの代表的なタイトルであり、売り上げランキング上位にランクインすることも珍しくない。

 『Fate』シリーズは、人気作家・奈須きのこなどが中心となったゲーム制作会社TYPE-MOONより発売された。2004年の発売以降人気は拡大し、代表的なタイトルである『Fate/stay night』は何度もアニメ化を果たしている。8月27日からは登場キャラクターであるイリヤスフィールを主人公とした外伝的な作品である『劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』も公開される。

 その広がり方は例えるならば『機動戦士ガンダム』シリーズに近いだろうか。初代の宇宙世紀を舞台とした『機動戦士ガンダム』から端を発し、今では宇宙世紀を外れた派生作品も多く生まれている。『Fate』シリーズもまた、英雄たちをサーヴァントとして召喚するなどの基本的設定を受け継ぎつつも、新しい物語が次々と生まれている。

 『FGO』の映画も多くのファンにとって待望のアニメ化を果たしている。だが、一方でこのアニメ化が特殊なものであったことは説明しておきたい。

 本来、スマホアプリゲームを題材とした作品のアニメ化を果たした場合、作品の魅力的な世界観とキャラクターを提示することで、新規をゲームに取り入れることが目的の1つとなるだろう。アニメとの相乗効果によって、ゲームの既存ファンを楽しませるだけでなく、全体のプレイ人数を増やそうとするのは普通のことだ。

 『FGO』の場合は、その構成がとても特殊だった。原作のゲームは前日譚と最終章を除き7章の物語が展開されるのだが、テレビアニメでは7章目を、映画では6章、ならびに最終章を上映すると発表したのだ。

 『Fate』シリーズは毎年年末にその後の展開を発表するテレビ番組が放送される。2016年には前日譚をアニメ化した『Fate/Grand Order -First Order-』を放送。アニメだけを追いかけている人は前日譚のアニメを観た後に、6、7章と最終章を観るということになる。つまり、アニメだけを追いかけていては物語の流れを追うことすら難しいという、完全にファン向けに作られたシリーズとなっているのだ。

 では、その作品評価はどうだったのかと問われると、ここも少し議論が巻き起こる。『Fate』シリーズの代表的な作品である『Fate/stay night』シリーズを制作したアニメスタジオはufotable。『鬼滅の刃』のヒットでその名を知った方も多いと思うが、2020年の『鬼滅の刃』のメガヒット以前は、むしろ『Fate』シリーズなどの奈須きのこ作品の映像化のクオリティの高さで話題になりやすいスタジオだった。

 そしてその力を結集させた『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]』の3部作は、まさにアニメ界の宝具と呼ぶに値する作品だった。緻密な作画などの他に撮影・仕上げのセクションをより丁寧に描くことで、エフェクトなどを活用したスピーディーな迫力のある戦闘描写、深いキャラクターへの理解度と物語のまとめ方などから、Fateファンからは絶賛の声が沸き起こる。



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