『TOKYO MER』で描かれた“外国人労働者問題” 有毒ガス事故は城田優がキーマンに?

 MER立ち上げ前に喜多見(鈴木亮平)が過ごした「空白の1年」。これまでに何度か触れられてきたが、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)第7話ではその空白を埋める人物が姿を現した。

 悪と戦うのがヒーローの仕事だ。国家転覆を企てるテロリストや猟奇的な犯罪者、悪徳政治家や不正に利益をむさぼる輩。悪を懲らしめ市民の平和を守るヒーローに人々は喝采を送る。『TOKYO MER』には命を救うヒーローが登場する。災害現場に駆け付けて、助からなかったはずの命を生死の淵から連れ戻す。自らを危険にさらすのは通常のヒーローと同じだ。しかし、その特異さは国家権力と対峙した時により一層際立つ。

 時間外に外国人労働者の集団中毒と思われる事案が発生。喜多見と冬木(小手伸也)、ミン(フォンチー)が向かった先には警官が詰めかけていた。当初発見された4人の他に、現場の清掃会社には16人が倒れていた。いずれも不法就労で日本にやってきた外国人労働者たちだった。搬送しようとする喜多見を公安の月島(稲森いずみ)は制止し、そのうちの1人カルナ(BREEZE)の身柄を拘束してしまう。カルナにはテロに関する嫌疑がかけられており、首謀者と見られる「Lasting Peace 9」はメールで身代金を要求し、現場の爆破を予告する。

 テロリスト相手のやっかいな事案に政治家たちも及び腰に。どこかで見たような責任の押し付け合いに思わずため息が出るが、火中の栗を拾った赤塚都知事(石田ゆり子)はMERと喜多見に負傷者の処置を任せた。テロ対処部隊の機動隊化学防護隊が出動した現場には有機リン系の危険な神経ガスが立ち込めており、喜多見たちは有毒ガスと爆破の危険にさらされながら傷病者の救護にあたった。

 「私が守るのは日本国民だけだ」と月島は語る。テロリストとつながりのある外国人労働者は、病人である前に容疑者というわけだ。対する喜多見は救助が最優先で、2人の考えは正面からぶつかり合う。命を救うMERには敵も味方もなく、極端な話、国益や経済成長より目の前の命の方が大事とさえ言える。月島の仕事も人命を守るという点では同じだが、そこには国籍や国境の壁があった。

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