『賢い医師生活』S2第7話 今後の縦軸になりうる、家族との関係を中心に描くエピソードに
1週間の放送休止後の『賢い医師生活』S2第7話は、このドラマが絶えず触れてきた家族との関係を中心に据えたエピソード。今までも仕事、友情、恋愛、社会と、人が生きていく上で直面するものごとを描いてきたが、その中でも家族の物語は『賢い医師生活』において背骨のような役割を担っている。医師たちの診療も、患者自身よりも彼らの家族との会話が描かれる。
てんかんを起こした子どもを診療してほしいと叫ぶ母親も、診療を受ける子どもの代わりに問診に答える母親も、息子の勤務先で傍若無人に振る舞うソッキョン(キム・デミョン)の母親も、子どもを想うあまり出過ぎた行動に出てしまう。ジョンウォン(ユ・ヨンソク)の母ロサは物忘れが激しくなったことを心配し、イクジュン(チョ・ジョンソク)の息子ウジュは恋人と喧嘩して落ち込んでいる。緊急搬送された昏睡状態の患者を診療したソンファ(チョン・ミド)は、唯一の肉親である息子に臓器提供の判断を委ねる。生後間もない子どもに補助人口心臓をつけるべきか悩む母親は、他病院の心臓外科医ジュンワン(チョン・ギョンホ)にセカンドオピニオンを求める。
移植手術を控え神経質になる患者の兄の態度に気分を害していたインターンのユンボクにイクジュンは、「救命医療機関に運び込まれた患者にとっては、人生の一大事で最も劇的な瞬間だ。そんなときに俺たちに会う。だから理解するよう努力するんだ」と訓示する。母親の病気を渾身的に診ていた医師に憧れて医者を目指したユンボクは我に返り自省する。終盤で登場する小児科フェローのキム先生も、子どもを心配するあまり立場が逆転してしまっている。これらのエピソードで思い出すのはS1第9話、産婦人科のハン看護士の言葉。「私たちも手術着を脱げば患者や家族になる。1回は耐えて理解して、2回目は耐えずに先輩に相談すること」。これは、第6話でジュンワンがレジデントに言う、「医師だって感情を封印する必要はない、大事なのは節度を判断すること」にも通じる、“賢い医師”になる極意だ。
英語に「他者の靴を履いてみる」ということわざがある。これは、相手の身になって物事を考えてみるという意味で、共感や相互理解を表す。このエピソードでは、白衣が靴の代わりになっているようなシーンがある。1つ目は、回診に向かうジュンワンに自分の白衣を貸す、フェローのジェハク。「毎日会ってもうれしいです。愛しているのかも」と軽口を叩き、ジュンワンにいなされても「嫌です。心が求めるので」と諦めない。もう1つは、いつものように中庭でコーヒーを飲むイクジュンが、寒がるソンファに自分の白衣をかけてあげる。第4話にも同じようなシーンがあった。プロポーズ準備中のジョンウォンや、果敢にアタックしてくるチーフレジデントのミナに5回の告白チャンスを与えたソッキョンに比べると、別れた恋人が忘れられないジュンワンと、友達の境界線を越えられないイクジュンのプライベートは停滞している。S1の11話にも2度出てくる白衣を渡すシーンは、父親を医師として看取るソッキョン、ソンファにとってチホンは後輩にすぎないといった立ち位置を明確にするための小道具だったが、このエピソードでは他者の白衣を借りる。相手の白衣を着てみた2人が、共感や相互理解を得るとドラマ内の人間関係は大きく動き出すだろう。