中村倫也×木村昴に聞く、“別れ”との向き合い方 『100ワニ』ネズミとモグラの関係に迫る
中村倫也と木村昴の“別れ”の受け止め方
ーー映画のオリジナルの100日後が描かれたストーリーには、どんな感想を持ちましたか?
中村:まず強烈ですよね、新キャラが。
木村:カエルが。
中村:ヤドクガエルが。目頭切れ込み入ってますし。
木村:ふふふ(笑)。
中村:ネズミをやっている身としては、ワニ亡き後のネズミを想像していたんです。オリジナルストーリーで残された人たちの日々が描かれて、よりネズミが親身になったなって。たぶん、人生って別れで終わるわけじゃなくて、その後の感情を、映画を観る人、もちろん生きていればみんなが持っていて。そこへのシンパシー、親近感、共感性のようなものが、より高まったんじゃないですかね。死という1つの事件、その出来事に至るまでを追っているのが原作だとしたら、映画ではその山の下り方も教えてくれたのかなと思います。
木村:“別れ”の受け止め方がそれぞれ違うのがリアルだなと思いました。それはそうだよなって。モグラは自分のパートナーが出来て、その子と歩んでいくことで、忘れられねぇかなって思いもあるけど、自分も彼女もワニのことをよく知っているから、2人でいる分、思い出す頻度も多かったりして。次に進もうとしてるんだけど、それでも思い出しちゃう、そういう切なさがあります。そして、やっぱりみんなが疎遠になっちゃうんですよね。
ーーカエルの登場についてはどうでしたか?
木村:カエルはちょっと異質ですよね。なんでカエルに違和感があるかって考えたら、ワニを思い出しちゃったりする部分があるからなんですよね。「いま、そんな気分じゃない!」って空気を読めていない部分もあるんだけど、一緒にいると思い出しちゃって嫌だなという側面もあって。彼がなぜそういう振る舞いをしているのかが分かったときに、同じものを失っていたんだなと気付かされました。カエルは違う街で心機一転することを選んでいて、別れに対してのそれぞれの向き合い方が生々しく描かれているなと。自分はネズミみたいになっちゃうのかな、モグラかなとか、そんなふうに自分の気持ちと照らし合わせながら見ることができるんじゃないかなと思いましたね。
ーー木村さんはどのキャラクターのタイプですか?
木村:僕はモグラタイプですね。完全に忘れたいと思うから、思い出さなくていいようにしたくなる。自分の過去の経験でも、失った人のことは僕が覚えていればいいから、わざわざ手を合わせにいくみたいなのがすごく苦手だったんです。だから、僕はモグラに共感しました。
ーー中村さんは、これまで別れというものをどう乗り越えてきましたか?
中村:僕はわりと、自分のことを見ていても、いろんな側面が出てきてビックリするタイプなんですけど、死というものに関していうならば、お葬式で手を合わせに行くと、すごく身体が入れ物に見えてしまう感覚があって。泣いている人の横でもそういうふうに感じてしまうタイプの子供で、「あれ、俺って人でなしなの?」と思いながら生きてきたんですけど……。ひとつの別れという大きな括りでいうならば、すっと冷静に、現実的にものを考えてる自分がどこかにいて。そういう意味では立ち直りが早いといえば語弊がありますけど、大切なものの分、逆に見失わずにいられるタイプなのかな。ドライといえばドライなんですけど……って感じですかね。今の話分かりました? 僕は分からなかったです。
木村:あはははは! 自分で言っておいて(笑)。
中村:喋っていて分からなくなりました。
ーー直接、死を感じるとすごく悲しくなってしまうから、逆に冷静に自分を置いている……みたいな感じですかね。
中村:いや、それとも違うんです。意識的じゃないんですよね。もう、そうなんですよ……ソーナンスってポケモンいましたね。
ーーいましたね(笑)。
木村:なつかしー!!
中村:書いといてください。
木村:10年ぶりくらいに聞いた(笑)。