松田龍平、松田ゆう姫らが大活躍 エンタメ界で存在感を放つ“松田ファミリー”
一方、『大豆田とわ子と三人の元夫』に、“三人の元夫”のうちの一人として出演中の松田龍平。彼が演じる田中八作の、肩の力の抜けたキャラクターが心地良い。“三人の元夫”の他のメンツといえば、角田晃広が扮する佐藤鹿太郎と、岡田将生が扮する中村慎森。前者は器の小さなせかせかした性格の持ち主で、後者は気難しいひねくれ者、両者ともによく喋る。八作は物腰が柔らかく、この二人とは対極的な人物なのだ。これを演じる松田龍平には「さすが」の一言である。
これまでにも、『舟を編む』(2013年)や『モヒカン故郷に帰る』(2016年)などで掴みどころのない人物を数多く演じてきた。彼の得意とする役どころだろう。とはいえこの掴みどころのなさは、各作品のトーンによって大きく印象が変わってくる。似ているようでまったく違うのだ。もちろん、これを自身の得意な役の路線としつつも、それぞれ確実に“芝居”として個々のキャラクターに適応しているからなのだろう。『影裏』(2020年)でのどこか得体の知れなさを感じさせる、ミステリアスな青年の役も記憶に新しい。今回の『大豆田とわ子と三人の元夫』は、先に述べた二人のみならず、主人公・大豆田とわ子(松たか子)もよく喋る。一風変わった八作が独特な“間”を生み出すことによって、ドラマは絶妙なテンポ感を得ている。
松田龍平といえば、20年以上もキャリアがあるわりに、ドラマ作品への出演が少ない。民放ドラマへの出演は、今作が2年半ぶりである。そんな彼が妹のゆう姫と同時期にドラマにレギュラー出演しているというのは貴重だろう。ちなみに彼らの関係からもう少し視野を広げると、ご存じの方も多いだろうが、二人の間には松田翔太がいる。次なる映画への出演の報が待ち遠しい存在だ。そして彼らの父は、多くの映画ファンを魅了し、多くの俳優たちが憧れてやまない故・松田優作。彼らの母である松田美由紀は俳優業のみならず、松田優作の遺志を継いでいくのであろう若手俳優たちに活躍の場も提供している。そこに並ぶのは、藤原季節や清水尋也、大下ヒロトたち注目株の名。彼らの活躍ぶりから、彼女のエンターテインメント業界への貢献度の大きさが分かるはず。本稿では主に松田龍平とゆう姫について記したが、松田優作と直接的、あるいは間接的な繋がりを持つ彼らすべてが、“松田ファミリー”として広くエンタメ界を支えているようである。
■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter
■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE/Warner Music Japan)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv
『大豆田とわ子と三人の元夫』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松たか子、岡田将生、角田晃広(東京03)、松田龍平、市川実日子、高橋メアリージュン、弓削智久、平埜生成、穂志もえか、楽駆、豊嶋花、石橋静河、石橋菜津美、瀧内公美、近藤芳正、岩松了ほか
脚本:坂元裕二
演出:中江和仁、池田千尋、瀧悠輔
プロデュース:佐野亜裕美
音楽:坂東祐大
制作協力:カズモ
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/mameo/
公式Twitter:@omamedatowako