松坂桃李が絶体絶命のピンチに 『ここぼく』が映す矛盾に満ちた人間像

『ここぼく』が映す矛盾に満ちた人間像

 危機は外部からやってくる。『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK総合)第4話では、帝都大キャンパスが未知の生命体に浸食され、神崎真(松坂桃李)が絶体絶命のピンチに陥る(以下、ネタバレを含む)。

 広報担当として度重なる危機をくぐり抜けてきた真が今回対処するのは「蚊」。ある日、気が付くと真の小指が腫れていた。腫れは発熱をともなってどんどん大きくなる。大学周辺では同じような症例が報告される。そんな折、真の後輩アナウンサー若林(吉村卓也)が帝都大を取材で訪れる。若林は昆虫分類学の第一人者・足立准教授(嶋田久作)へのインタビューを敢行。古めかしい研究室で危険な虫の脅威を語る“ドラキュラ”足立のイメージはまたたく間に広がり、苦情の電話が殺到する。

 腫れの原因は「蚊アレルギー」によるもので、ワクチン蚊を開発する堀田教授(奥田洋平)の研究室から流出した外来種のサハライエカと在来種が交配して繁殖。理事の鬼頭(岩松了)や新聞部のユウナ(吉川愛)も刺されて発症してしまう。一方、隣接する会場では次世代科学技術博覧会(次世代博)を2カ月後に開催することが決まっており、ホストを務める帝都大は不祥事の隠ぺいに必死になる。理事たちが形だけの調査でやり過ごそうとする中、真に突きつけられた真実とは……。

 元アナウンサーの広報担当者が危機的状況に振り回される本作。内容から言って『脱サラ広報担当者の憂鬱』という題名でも良さそうなものだが、なぜ『今ここにある危機とぼくの好感度について』なのか? 本来、危機と好感度は直接結び付くものではない。分裂症気味なタイトルは本作のユニークな立ち位置と矛盾に満ちた人間という生き物のありようを反映している。

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