『鬼滅の刃』北米でも記録を塗り替える大ヒット! その要因は“データ”にあり?

『鬼滅の刃』北米大ヒットの要因は“データ”?

 配給を手がけるファニメーションの劇場公開重要視は、親会社であるソニー・ピクチャーズがストリーミングサービスを持たずに既存サービスとコンテンツ供給契約を結ぶ道を選んだことにも一因がある。昨年1年間の劇場閉鎖を受け、ハリウッドの大手スタジオが自社ストリーミングサービスの立ち上げに血眼になる中、劇場体験を優先するソニー・ピクチャーズとファニメーションの立ち位置は明解だ。ファニメーションのグローバル市場担当副社長のミッチェル・バーガー氏はインタビューで成功の理由をこう分析している。「私たちは映画館での体験、映画館での上映を重視している。また、アニメはコミュニティを中心に成り立つ文化であり、(劇場での視聴体験は)ファンのライフスタイルに欠かせないものだと考えている。上映でもコンベンションでも、アニメファンは実際に集まってお互いに会い、コスプレをするのが好きだ。アニメ映画の上映会には、その場でしか得られないエネルギーがあると思う」。1位を取得した2週目以降は公開館数を300館増やし、1900館以上で公開されている。バーガー氏は、『鬼滅の刃』の大ヒットは「劇場上映モデルと映画館で映画を観る観客がまだ存在し、映画業界が復活することを示している」と述べる。

 パンデミックとデータはあらゆる物事を可視化させた。経験値と思い込みでマーケティング戦略を練る時代はすでに過ぎ去り、データが語る事実を元に柔軟に歩を進めた結果が、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の北米大ヒットの要因なのではないだろうか。

参考

https://www.boxofficepro.com/funimations-mitchel-berger-on-anime-title-demon-slayer-slaying-the-domestic-box-office/

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
全国公開中
声の出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔、石田彰
原作:吾峠呼世晴(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二、矢中勝、樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:LiSA「炎」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com
公式Twitter:@kimetsu_off

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