『ドラゴン桜』は日曜劇場“黒幕ルール”を継承? 生徒を取り巻く大人たちの思惑が鍵に
2005年に放送され、大ヒットした学園ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)が16年ぶりに帰ってきた。
阿部寛演じる元暴走族の弁護士・桜木建二が落ちこぼれの生徒たちを東大合格へと導く本シリーズ。前作で桜木の教え子だった水野直美を演じる長澤まさみの続投、原作とは異なるドラマオリジナルの新たな舞台・龍海学園の生徒役を務めるフレッシュな顔ぶれなど、放送前から期待が寄せられていたが、今注目されているのは前作との作風の違いだ。
桜木が東大合格者を出すことを条件に経営難の高校再建を引き受けるという基本的なスタンスは変わらない。そして、最初は反発的だったり、乗り気ではなかった生徒たちが少しずつ桜木の言葉に心動かされ、東大を志すという筋書きも同じだ。しかしながら、今作はその裏で桜木や生徒を取り巻く大人たちの思惑が渦巻いている。
学歴にとらわれない自由な校風を掲げ、桜木と対立する龍海学園の現理事長役・江口のりこ、その父親役の木場勝己、理事長に頭が上がらない校長役の山崎銀之丞、桜木側に立ち彼をサポートする教頭役の及川光博というメンツが登場したことで、同じTBS日曜劇場枠、福澤克雄がチーフ演出家を務める『半沢直樹』と雰囲気が似通っていることも第1話放送後に話題となった。
さらに、桜木が2年前にある高校の特進クラスで8人中、東大不合格を一人出してしまったことで、その生徒が桜木を刺した上に自殺未遂を起こすという一大スキャンダルにより消息不明だった……というドラマならではのスパイスも。
「そもそも、マスコミに桜木が生徒を自殺未遂に追い込んだとリークしたのは誰なのか」という今作を貫く大きな謎と、話毎に「桜木や個々の生徒を追い詰めている人物は誰か」という小さな謎が挟まれ、落ちこぼれの生徒たちが東大を目指すことで人間的にも成長していく姿を描いた学園ドラマが、長期的にも短期的にも“黒幕”を探すというミステリードラマの王道展開を取り入れた物語に変化したのだ。そして、この展開はここ数年の日曜劇場でもはやお馴染みとなっている。