『名探偵コナン 緋色の弾丸』は“灰原哀の映画”だった 破壊規模は劇場版史上最高レベルに

※本稿には、『名探偵コナン 緋色の弾丸』のストーリーに関わるネタバレが含まれます。

 待ちに待った、という言葉がこんなにもよく似合う映画はそうそうないだろう。昨年からいまなお続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの映画が公開延期を余儀なくされた2020年。もちろん待ち望む映画というものは人それぞれだとは思うが、『名探偵コナン』の延期というのは単なる公開延期とは異なる。それまで20年以上にわたって毎年4月につづけてきた“習慣”が奪われたということでもあり、つまるところ2年ぶりに映画館に“4月”がやってきたということになるわけだ。

 今回の劇場版『緋色の弾丸』は、「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」という世界規模のスポーツイベントが東京で開催されることに合わせて建設された、「真空超電動リニア」をめぐる事件が展開していく。WSGの大会スポンサーが拉致される事件が発生したことを契機に、15年前にアメリカで起きた事件との関連性を見つけ動き出すFBI。そして赤井秀一をはじめとする、いわゆる“赤井ファミリー”の面々がそれぞれ絡んでいくのである。

 “世界規模のスポーツイベント”と、それに合わせた“新駅の建設”というのはまさに、当初の公開年である2020年に照準を定めていたことがよくわかる設定だ。そこに、現実世界では2027年に開業を予定している「超電動リニア」が加わることで、物語にどことない近未来感が携わり、それだけで劇場版シリーズには欠かせないスケール感が与えられる。前作の『紺青の拳』ではシンガポールを舞台にした事件が展開するという限りなくフィジカルな点で、これまでの劇場版との差異が図られたわけだが、それともまた異なるアプローチの仕方といえよう。

 ここで特筆すべきは、やはり「超電導リニア」という乗り物(磁気浮上式のこの乗り物を、画一的に「鉄道」や「列車」と表現していいのか曖昧なところなので、あえてこう表現させてもらう)と「映画」との親和性であろう。たとえば「鉄道」「列車」の映画といえば、それこそ映画の起源たるリュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅の列車の到着』から、つい先日日本国内で歴代最高興収を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』にいたるまで数多く存在し、モーション・ピクチャーたる映画の構造において、最も親和性の高い無機物であることは間違いないだろう。