『レッドアイズ』最終回は意味深なラストに 亀梨和也の涙の演技に圧倒される

『レッドアイズ』最終回、亀梨和也が熱演

 真弓の服用する薬が切れるタイミングを狙い、一気に勝負をつけた伏見は、いよいよ鳥羽と対峙する。そこで明かされた、美保殺害の真相。出版社につとめていた美保は、上司から「恋人が警察官である」ことを脅しに、梓を貶めるでっちあげ記事を書かされていた。その事実をもって鳥羽は、美保が「俺のために」殺されたのかもしれないと、伏見の心にとどめをさす。さらに美保の人生を下劣な言葉で形容し、伏見の怒りを煽る鳥羽。「殺してやる」ーー鳥羽の首にかけた伏見の手に力がこもる。「ずっとあなたを見てる」「自分を見失わないで。いつまでも、強くて優しいあなたでいて」

 美保の携帯電話のなかに残されていた、伏見へのメッセージ。奇しくも、小牧が商売のために入手したデータが、伏見を引き留めた。伏見を襲う究極の怒り、そして究極の悲しみと、愛。数分間にわたる、亀梨の涙の芝居は圧巻だった。

 人生は、大切な存在をいつ失うとも分からない恐怖と、戦い続けることでもある。ならばいっそ、誰とも出会わず、関わらず……そうすれば、悲しみを知らずに生きていけるのだろうか。けれど人は出会ってしまう。鳥羽側の内通者でありながら、おそらく無意識に身を挺して長久手を守った姉川もそうだ。信じたい、守りたい……生きているかぎり、懲りずに生まれてくる感情に葛藤する。それもまた、人生なのだと思う。

 親に捨てられ、決して裏切ることのないプログラミングの世界にのめり込んだ小牧。息子を守るため、夫を手にかけた湊川。同じく息子のため、詐欺に協力した山崎。恋人を失い、復讐のためだけに生きてきた伏見。傷つけ傷つけられ、「もう誰も要らない」と思った日もあっただろう。それでもいつの間にか、こんなにも信じ合い、守り合いながら生きている。島原もまた、かけがえのない人を失った。けれど、憎むでも逃げるでもなく、今そこに生きている大切な人ーー妹・はるか(高橋ひかる)と向き合い、想いを伝える選択をする。信嗣(笠原秀幸)の一件以降、互いに接し方が分からなくなってしまっていた二人は、ようやく心のうちを伝え合うことができた。

 ラストシーン。晴れ晴れとした空の下に映るトートバッグ。バッグチャームには、鳥羽の患者たちが身に着けていた“あの”マークが刻印されている。バッグを手にとり、青いコートを羽織って歩くはるか。明るく元気な「石’s kitchen」の看板娘の顔ではない、どこか冷めた目。防犯カメラが、作動中の「赤いランプ」を光らせ、はるかの姿を捉えている。

 KSBCは解散したが、今このときも「レッドアイズ」は、危険がひそむ街と人々の心の闇を見つめている。

※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter

■配信情報
『レッドアイズ 監視捜査班』
Huluにて配信中
出演:⻲梨和也、松下奈緒、趣里、シシド・カフカ、松村北斗(SixTONES)、高橋ひかる、木村祐一
脚本:酒井雅秋、福田哲平、まなべゆきこ
音楽:カワイヒデヒロ
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、茂山佳則(AX-ON)
演出:水野格、長沼誠ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/redeyes/
公式Twitter:@redeyes_ntv
公式Instagram:@redeyes_ntv

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