尾野真千子×石井裕也『茜色に焼かれる』5月21日公開へ  共演にオダギリジョー、永瀬正敏ら

 石井裕也監督最新作『茜色に焼かれる』が、5月21日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開されることが決定した。 

(左から時計回りに)尾野真千子、永瀬正敏、和田庵、片山友希、オダギリジョー

 『舟を編む』『町田くんの世界』『生きちゃった』の石井裕也監督最新作となる本作は、傷つきながらも、自身の信念の中でたくましく生きる親子の姿を描く人間ドラマ。

 この世界には、誰のためにあるのかわからないルールと、悪い冗談みたいなことばかりがあふれている。誰もが自身を偽り、まるで仮面の生活を強いられているかのように。そんな、まさに弱者ほど生きにくいこの時代に翻弄されている一組の母子がいた。哀しみと怒りを心に秘めながらも、わが子への溢れんばかりの愛を抱えて気丈に振る舞う母・田中良子。その母を気遣って日々の屈辱を耐え過ごす中学生の息子・純平。果たして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは。

 多難の時代に逆風を受けながらも前向きに歩もうとする母親・良子を尾野真千子、息子の純平を和田庵が演じる。さらに、純平が憧れを抱く良子の同僚・ケイ役で片山友希、交通事故で命を落とす夫・陽一役でオダギリジョー、良子とケイを見守る風俗店の店長役で永瀬正敏が出演する。

 出演が決定した尾野、和田、片山、オダギリジョー、永瀬、石井監督からはコメントが寄せられている。

コメント

尾野真千子

拝啓皆様いかがお過ごしですか。
私は、この度、どうにもやりにくいこの世の中で、映画の登場人物達が戦うように私ももがき、あがき、力の限り戦ってみました。
どうぞごらんください。

和田庵

初めて台本を読んだ時、役の重要さにプレッシャーと気合い、そして感謝という色んな感情が同時に溢れたのを覚えています。主演の尾野さんは、とてもやさしく面白い人で、殆どの時間を一緒にいて、本当の親子のように接していたのでクランクアップの時はとても寂しかったです。石井監督は普段はとても気さくで話しやすいお兄さんという感じですが、いざ撮影が始まると怖いくらい集中して別人のようになります。
そして監督の良い映画を作りたいという強い想いが現場全体に伝わり、僕も拙いながら「このチームの一員として良い作品を作りたい」と意欲が湧きました。今回、この素晴らしい作品に役者として参加出来たことを僕は誇りに思います。
母と子を取り巻く矛盾や理不尽さの中でコントロール出来ない感情に振り回されながら、それでも幸せになりたいと願う親子を描いた作品です。純平を演じて僕自身も精神的に成長出来たと思います。その親子の姿は皆さんにとって、きっと忘れられない作品になると信じています。

片山友希

完成した映画を観ている最中、これで良くなかったら私はやめた方がいいんだろう。縁がなかったんだろう。とふと、思いました。が、そんな事どうでも良くなりました!
映画ってかっこいい! 映画を作ってる人達ってかっこいい! まだまだ私の熱は冷めません!
ここには書ききれない毎日がありました。
時間が経って、今になって監督は私を信じてくれたんだと気づき涙が出ました。

オダギリジョー

一生懸命に生きることって、何よりも大事だと思う。
そして時には、闘うことも必要だ。
自分の為にも。大切な人の為にも。

永瀬正敏

石井裕也監督の世界に触れさせていただきたい……その想いだけでした。
素晴らしい体験、感謝しています。

石井裕也監督

とても生きづらさを感じています。率直に言ってとても苦しいです。悩んでいるし、迷っています。明らかに世界全体がボロボロになっているのに、そうではないフリをしていることに疲れ果てています。コロナ禍の2020年夏、しばらく映画はいいやと思っていた矢先、突然どうしても撮りたい映画を思いついてしまいました。
今、僕がどうしても見たいのは母親についての物語です。人が存在することの最大にして直接の根拠である「母」が、とてつもなくギラギラ輝いている姿を見たいと思いました。我が子への溢れんばかりの愛を抱えて、圧倒的に力強く笑う母の姿。それは今ここに自分が存在していることを肯定し、勇気づけてくれるのではないかと思いました。
多くの人が虚しさと苦しさを抱えている今、きれいごとの愛は何の癒しにもならないと思います。この映画の主人公も、僕たちと同じように傷ついています。そして、理不尽なまでにあらゆるものを奪われていきます。大切な人を失い、お金はもちろん、果ては尊厳までもが奪われていきます。それでもこの主人公が最後の最後まで絶対に手放さないものを描きたいと思いました。それはきっと、この時代の希望と呼べるものだと思います。
これまでは恥ずかしくて避けてきましたが、今回は堂々と愛と希望をテーマにして映画を作りました。と、まあこうやってつらつら書きましたが、尾野真千子さんがその身体と存在の全てを賭して見事に「愛と希望」を体現しています。
尾野さんの迫力とエネルギーに心地よく圧倒される映画になっていると思います。尾野さんの芝居に対する真摯な姿勢には心から敬服していますし、共に映画を作れて、とても幸せに思っております。

■公開情報
『茜色に焼かれる』
5月21日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
出演:尾野真千子、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏
監督・脚本・編集:石井裕也
製作幹事:朝日新聞社
制作:RIKIプロジェクト
配給:フィルムランド、朝日新聞社、スターサンズ
2021年/日本/144 分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/R-15+
(c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
公式サイト:akaneiro-movie.com

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画情報」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる