『知ってるワイフ』は実体験を元に制作 男女2名のプロデューサーが込めた、日本の空気感
リアルすぎる大倉の演技に予想以上の声が!
――大倉さん、広瀬さんにオファーしたときの思いと、実際に演技を見られた感想はいかがですか?
狩野:元春も澪も、同じ俳優さんが学生時代から結婚後まで演じるので、その違和感がないことが大前提でした。そうした意味で、フレッシュさをうまく表現することができるおふたりにオファーをしました。大倉さんは『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)をはじめ、ドラマや映画、舞台で演じられる、後悔するときの表情がすごくいいなと思っていました。そういう意味でも今回の元春役はとてもハマっていると思います。
――オンエア後、元春のダメ夫ぶりがかなり話題になっていましたが、届いていらっしゃいましたか?
狩野:もちろんです。でも、こんなにクズ男って言われるんだとびっくりしました(笑)。ありがたいことに物語の世界観にすごく入ってみてくださる方が多いんだなって感じました。
貸川:言われるだろうなとは思っていたんですけど。「ここまでか!」っていう感じで(笑)。もしかしたら、日常のフラストレーションが溜まっていたタイミングが、バーンと出たのかなと。我々としては、元春を悪者にして、「澪の苦しみを知れ!」みたいなつもりで作っているわけではなかったんですけどね(笑)。「もうこんな人生嫌だ」ってなってしまった主人公に、もしタイムスリップっていう奇跡が起きたとしたら、どうやって人生を取り戻せるのかっていう旅の始まりを見せたかったので。「こんなダメなヤツがいるんですよ」って吊るし上げるつもりはなかったのですが……。
狩野:大倉さんに申し訳ない(笑)。
貸川:きっと、それだけ本当にうまく演じてくださった証拠だと思います。本当に、表情の作り方とか、悪気なく言っちゃったことが地雷を踏んでいる、みたいなところとか(笑)。自ら踏んでしまっているのに、「わー! わー!」ってなっている感じもすごくリアルなので。
――実際の収録現場の様子は、いかがでしたか?
狩野:みんな、すごくほのぼのとしていましたね。
貸川:そうですね、みなさん穏やかな人たちだったのでマイペースにやっていました。
このドラマを一緒に観られるかが、夫婦円満のバロメーター!?
――やはり女性が共感している声が多くありましたが、男性からの反響は届いていますか?
貸川:知り合いの男性から「観てるよ」という声が届きました。でも「面白いんだけど、奥さんの隣では見られないな」とも(笑)。すごく肩身が狭くなるらしいです。
狩野:逆に「夫婦で楽しく観てます」みたいな声もあるんですよね。だから、もしかしたらこのドラマを一緒に観られるかどうかが、夫婦円満のバロメーターになるかもしれないですね(笑)。気まずいのは何か思い当たる節があるってことだと思うから。
――たしかに。いずれにしても「パートナーシップ」について描きたかったという想いは、しっかりと視聴者のみなさんに伝わっているようですね。原作とは異なるエンディングに向かっていくとのことでしたが、今後の見どころを聞かせてください。
貸川:元春は後半に向けて、これまでの澪との生活を振り返って、今の沙也佳との夫婦関係はどうなのかと考え、ちゃんと向き合おうとする話になっていきます。いろんな夫婦の形があるよねっていうことも出てくると思うので、見届けていただけたらと思います。
狩野:クズと言われてきた元春がどうなっていくのかに尽きますよね。原作もそうですが、主人公の気づきは、そのまま私たちの実生活に役立つヒントでもあると思うんです。「じゃあ自分ならどうだろう」と照らし合わせながら、パートナーとよりよい関係性を築いていくための何かを感じ取っていってもらえたらうれしいですね。あとドラマを観ながら、SNSで実況している視聴者のみなさんのつぶやきも見ていくとより楽しいんじゃないかなと思います。いろんな人のパートナーに対する考え方がみえてきます。
貸川:相手と向き合うためには、まず自分がどうしたいか、どうなるべきかっていうのを考えるのが一番大事という、実はすごくシンプルなテーマをやっているんです。わかってはいるけれど意識し続けるのは難しいから、こうしてドラマを観ることで「そうだよね」ってちょっと省みるきっかけになればいいかなと思って作っていますので、ぜひラストまで楽しんでいただきたいですね。
――ありがとうございます。ちなみにおふたりは「過去に戻りたい」と考えたことはありますか?
貸川:ありますよ。戻りたいっていうか、「あのとき、ああしてたら今はどうなっていたかな」っていう感じですけれど。
狩野:嫁は絶対に変えたくないです! でも、だから今という瞬間が大切な気がしますね。
■放送情報
木曜劇場『知ってるワイフ』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ