『おちょやん』松本妃代が座員・石田香里を好演 マルチな才能で劇団に新風吹かす?
その中で松本に期待するのは、やはり劇団の唯一のアイドルとしての役割。丸尾末広の『少女椿』に出てきそうな出で立ちで、チラッと見せた歌声は、アーティストとしての下積みがある松本だけに上手く、歌と踊りが自慢という香里役は運命を感じるハマり役。千之助に説教されてからは、得意の繊細な演技で迷いや同情を見せているが、喜劇女優に成長した先に、あえて浮世離れしたアイドル的なキャラになるのか、繊細でリアルなキャラになるのか、松本自身が役に対してどう成長した演技を見せるのか、こうした群像劇は『#声だけ天使』(AbemaTV)で経験しているだけに、期待が高まる。
『#声だけ天使』で松本が演じたボーイッシュな声優専門学校の生徒・小森茜役は、クールで、ドSな人見知りという、これまでの松本のイメージとは真逆の役柄だった。物語上のヒロインではないが、彼女の片思いや、人と壁のあった彼女が心を開いていく様が作品を彩、真のヒロインと言ってもいい魅力的な人物となっていた。声優役として少年のような声の演技も披露するなど、松本の女優としての可能性を広げた作品だ。
『おちょやん』に話を戻すと、千代の師匠である山村千鳥(若村麻由美)に千代と左遷組3人がアドバイスを受けている時に、熱くなる千代たちを余所目に、若者らしい冷静なツッコミ役をしているところも、物語に進行していく上で、さりげなく重要な役割を担っているようにも感じる。そして千代をライバル視しているという設定があり、今後劇団のアイドルの座をかけて争いが起これば面白い展開が生まれそうだ。
元々実力とオリジナリティがある女優だけに、朝ドラという国民的ドラマに出演し顔と名が売れることで、メジャーシーンでのさらなる活躍が期待できるだけでなく、今後朝ドラで主演ができる可能性も十分にある。松本は、それだけのポテンシャルと魅力を持った女優だ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/