『青のSP』ではどう動く? 『バトル・ロワイアル』など藤原竜也のキャリアを振り返る

藤原竜也の役者キャリアを振り返る

 そんな藤原のキャリアの中でも個人的に思い入れがあるのは、やはり演劇作品だ。2003年に野田秀樹率いるNODA・MAPに初参戦した『オイル』と、同年、史上最年少でタイトル・ロールを演じた『ハムレット』。どちらも後追いで映像で観たのだが、画面越しでも舞台上の彼の気迫が伝わってきた。観たことがある方ならば分かることと思うが、両作で藤原に課せられたものはあまりに大きかったはず。『オイル』は準主役にあたるポジションだったし、どちらの役にも膨大な量のセリフがある。しかもこの2作を、20歳を過ぎたばかりの若手俳優が同年に経験しているという事実に驚きだ。いずれもメイン会場はBunkamura・シアターコクーン。どれほどの大作だったのか分かるだろう。彼が“演劇の申し子”と呼ばれ、期待されたゆえんも、こうして振り返ることで再認識させられる。

 さて、そんな藤原が今作『青のSP』で演じているのは、ご存知のとおり“スクールポリス”。とある中学校内に常駐し、トラブル対応や予防活動を行う存在だ。藤原演じる警察官・嶋田は、本作のキャッチコピーである“守ってやるが、容赦はしない”から分かるように、問題のある生徒には容赦なく手錠をかける男だ。相手が子どもだからといって手加減することはなく、力で押さえてしまうほどの型破り具合いである。こんな設定でありながらも、嶋田は極めて冷静沈着。人の心を読み、真実を見抜くような優れた観察眼を持っている。

 となれば、演じる藤原も感情の抑制を求められる。たまに怒声を発したりもするが、それは嶋田が感情的になった結果ではなく、あくまで相手に威圧感を与えたり、効果的に諭したりするためのもの。嶋田もまた芝居をしているようで面白いのだ。しかし、これからの展開で彼のリミッターが外れる事件が起こらないともかぎらない。

 つい先日、地方公演まで終えた演劇作品『てにあまる』でも藤原は主演を務めていた。これは共演者である柄本明、高杉真宙、佐久間由衣ら4人による、濃密かつ過激な会話劇だった。物語が進むにつれ主人公はしだいに精神に異常をきたし、あらゆる方向に向けて感情を発露させていくのだが、それは単純な“爆発”などではなく、あくまでも舞台である一室のスケールに合わせられたものだと感じた。今作『青のSP』でも、ドラマ作品であること、舞台が中学校であること、演じているのが警察官であること……この条件下、このスケールに合わせた、藤原演じる嶋田の感情の発露を見てみたい。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:藤原竜也、真木よう子、山田裕貴、泉澤祐希、たくませいこ、渋谷謙人、智順、兒玉宣勝、金沢雅美、音尾琢真、石井正則、須賀健太、遠藤雄弥、明日海りお、峯村リエ、升毅、山口紗弥加、高橋克実
脚本:大石哲也、山岡潤平、小島聡一郎
音楽:菅野祐悟
プロデューサー:河西秀幸、国本雅広、高橋史典
演出:国本雅広、白川士、高橋貴司
制作:カンテレ、ケイファクトリー
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/schoolpolice/
公式Twitter:https://twitter.com/bluesp_tue21
公式Instagram:https://www.instagram.com/bluesp.tue21/

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