竹内涼真の熱量と衝撃的なラスト 『君と世界が終わる日に』深遠なテーマが顔をのぞかせる
小説家の宇和島には自分自身の物語があって、最後まで自身のストーリーを手放さなかった。ゾンビもウイルスも相手を選ばないが、人間は死に方を決めることができる。死に方は生き方の裏返しで、最後に残された自由でもある。ゾンビになりかかっていた宇和島は、身を挺して響たちを守ることで自身の物語を生ききった。佳奈恵(飯豊まりえ)は「正しい方を選んでいたら、たぶんみんな一生後悔することになってた」と言ったが、後悔せずに済んだのは、響が宇和島の物語を守ろうとしたからだろう。
生きたいと思うことは当たり前の「わがまま」だ。死を直視した宇和島は、最後に「わがまま」という自由意思を貫いて響たちの盾になった。そこには尊厳性があるが、多くの人のために死ぬことが尊いと考えると読み誤る。国や組織のために個人が犠牲になることが肯定されるわけではない。
横須賀駐屯地には日韓新興感染症対策機構が併設されており、来美は首藤(滝藤賢一)たちと出会う。サバイバルを主題にした作品では、共通の敵(本作ではゾンビ)以外に、自分たちと同じような集団や、目的の異なる第三極も相手にしなければならない。衝撃的なラストから察するに、予測不能な展開はまだまだ続きそうだ。本日の一言は「目の前で誰かが死んでいくのを見たくない」。シンプルだけど真情。竹内涼真の熱量に撃ち抜かれた。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
『君と世界が終わる日に』
Season1(全10話):日本テレビ系にて毎週日曜22:30〜放送
Season2(全6話):Huluにて、3月配信開始
出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松将、飯豊まりえ、大谷亮平、笹野高史、マキタスポーツ、安藤玉恵、横溝菜帆、鈴之助、キム・ジェヒョン、滝藤賢一
脚本:池田奈津子
音楽:Slavomir Kowalewski A-bee
主題歌:菅田将暉「星を仰ぐ」(Sony Music Labels Inc.)
制作:福士睦、長澤一史
チーフプロデューサー:加藤正俊、茶ノ前香
プロデューサー:鈴木亜希乃、鬼頭直孝、伊藤裕史
協力プロデューサー:白石香織
演出:菅原伸太郎、中茎強、久保田充
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ、HJ Holdings,Inc.
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