有村架純、のん、小松菜奈の相手役に続々抜擢 林遣都が求められ続ける理由

林遣都、澄んだ力でヒロインを支える

 林遣都が求められている。『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で改めてブレイクした形の林だが、その演技力はかねてより折り紙付き。決してうるさく自分をアピールするのではなく、繊細に作品を盛り立てる実力を持って、自分の色を残す。この先は、有村架純、のん、小松菜奈と、ヒロインの相手役としての需要が続く。その魅力とは?

 まずは10月27日から放送のドラマ『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)。連続ドラマ『ひよっこ』の脚本家、岡田惠和と主演の有村架純が6度目のタッグを組むことで早くから話題を集めるオリジナル作品だ。両親を事故で亡くし、一家の大黒柱として、弟3人のために懸命に生きてきた有村演じる“肝っ玉姉ちゃん”桃子の奮闘を描くラブ&ホームコメディで、林は桃子が恋に落ちる青年・吉岡真人を演じる。

 演出の中心となる三宅喜重は、草なぎ剛主演で支持を集めた“僕シリーズ3部作”や、阿部寛主演の『結婚できない男』『まだ結婚できない男』、松坂桃李と山本美月共演の『パーフェクトワールド』(以上、カンテレ・フジテレビ系)などに携わってきており、人生の機微をすくう温かな作品が期待できる。また、吉岡は岡田が林に当て書きしたキャラクター。実直でいつも微笑みを絶やさず真面目に仕事に取り組んでいるが、実は心に傷を抱えている役どころで、どこか影のある役柄もよく似合う林にぴったりだ。前向きな桃子と、過去を抱えた吉岡。周囲と共鳴しながら、岡田の紡ぐ物語がふたりをどう成長させ、近づけていくのか。

『私をくいとめて』(c)2020『私をくいとめて』製作委員会

 12月18日公開予定の映画『私をくいとめて』では、のんと共演。『蹴りたい背中』の綿矢りさの同名原作を、『勝手にふるえてろ』『美人が婚活してみたら』『甘いお酒でうがい』と、女性を描くことに長けた大九明子監督が料理してみせる。主役ののんが扮するのは、“おひとりさま”生活を満喫中の31歳の黒川みつ子。脳内に「相談役A」がいるみつ子は、迷ったときにはいつでももうひとりの自分である「A」に相談してきたが、ある時、年下の営業マン多田くんに恋をしたことから、生活が変わりだす。林はみつ子に変化を与える多田くんを演じる。

 大九監督は、多くの女性たちの中に共存しているファンタジーの世界を、リアルな日常に溶け込ませるのがとても上手く、本作でも「相談役A」と対話するみつ子の姿を、決して突飛な女性ではなく、どこにでもいる働く女性として映し出してくれるはず。それを、コメディエンヌの才能は証明済みののんが、かわいいだけではない、経験を重ねてプラスされた豊かさを持って、実年齢より上となる31歳のみつ子で見せてくれるに違いない。そして林は爽やかさと同時に年下男子特有の小憎らしさもきっちりと出してくれるのではないか。

 さらに2021年公開予定の『恋する寄生虫』では小松菜奈とW主演を務める。三秋縋による長編小説が原作で、極度の潔癖症のために人間関係を築けずにきた青年と、視線恐怖症により不登校にある少女のラブストーリーを描く。監督はコマーシャルフィルム、ミュージックビデオなどの映像作家としても活躍する柿本ケンサクが、脚本は、林と『ちーちゃんは悠久の向こう』でも組んだ山室有紀子が務める。『姉ちゃんの恋人』『私をくいとめて』とはまた違ったベクトルでの林が楽しめそうだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる