『竜の道』“因果応報”の結末に 副題「二つの顔の復讐者」が示唆する復讐の本質
『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)がついに最終回を迎え、竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)の双子の復讐計画にも終止符が打たれた。ハッピーエンドとはもちろんいかず、ラストはまさに復讐は復讐の連鎖を生む「因果応報」の結末。復讐によって巻き込まれた関係のない人間に弱みを握られ利用されたり、陥れられたり、あるいは救われ、助けられ、最後には仕返しを受ける。
第1話の冒頭シーンにあったように双子が分裂してしまい、竜一がヤクザ組織の会長・曽根村(西郷輝彦)まで敵に回してしまう窮地を経て、ボロボロになった双子と美佐(松本穂香)の3人がようやく本音で話し合え、兄妹としての再会が叶う。
双子が霧島源平(遠藤憲一)を追い込むシーンで、源平が声を荒げて言い放った「俺はお前らが持ってないような金と人脈持っとるんじゃ」で、既にこの復讐計画の勝敗ははっきりしていた。まゆみ(松本まりか)が源平と自分の共通点として挙げていた「自分勝手で弱い。愛を信じないから誰も信じられない」という部分と思わずリンクしてしまう。
ただ、竜二との触れ合いを通して変化した今のまゆみは「(相手からの愛がなくても)私の中に(相手への愛が)あればいいの」と断言できる強さと優しさを得た。ギブアンドテイクの人間関係、常に損得勘定がつきまとうような人脈ではなく、たとえ報われることがなくとも、相手を大切に想う気持ちを感じられるような存在がいること。仮に相手が死んでしまって自分の目の前にいなくとも。そんな存在を得られた人間だけが持てる誰にも奪えない、とっておきの武器なのかもしれない。これは、自分の心の中ではずっと生き続けている兄を思いやって大胆な行動に出る美佐の力強さにも通ずるものであり、互いの思惑や正体を明かした上で3人で生きていくことを決めた双子と美佐の「不幸も悲しみも共に背負わせてほしい」と願う絆にも言えることだろう。