塚原あゆ子が明かす、毎回違う味で作る『MIU404』 テレビドラマの最前線で考えること
ドラマの一番いいフォーマットを探すこと
――脚本家さんによって、仕事の進め方は大きく違いますか?
塚原:もちろん。それぞれの持ち味がありますし、その持ち味に惚れて突っ込んでいくので。その魅力が違うんですよね。野木さんには2枚底3枚底で展開していく構成力、粋な台詞のやりとりみたいなことが一番よく見える「こういうシーンが撮りたい」と思うんだけど、例えば奥寺佐渡子さん(『Nのために』『リバース』など)は、その台詞が出ることに対する情緒というか、そういうのが前に出るイメージですね。
――例えば、第3話でピタゴラ装置の玉を「その下で寝ていた伊吹がキャッチ」としか書いてないのに、あのアングルは「ハッ」としました。現場では、キャストの方とそうした演出を考えることも多いんですか?
塚原:あれは綾野さんと現場で考えたんだったかな。こちらからは「こうしたらどうかと思ってるけど、動きづらかったら別にどうやってもいい」って言いますね。2話の「富士山前の前で頭を下げる」ってなったら、富士山が出るまで待ちますけど(笑)。あと、3話でご飯食べるときにカウンターで横並びのギチギチ感が可愛らしいだろうと思ったので「そういうふうに食べたらどうか」とか。それぐらいですかね。やっぱり俳優さんは俳優さんで自分のいい見せ方を知っていますから。
――そうなんですね。現場では監督の言うことが絶対、みたいなイメージがありました。
塚原:それは巨匠と呼ばれる方だけよ! 私だからの持ち味みたいなものは特にないですね。でも、なるべくカット割が一緒にならないようにはしたいってこだわりはあります。カメラマンから「全部一緒だよ」って言われるかもしれないけれど、それでも自分としては抗いたい。だから、『中学聖日記』(TBS系)のときは、それ用の機材を揃えて撮りました。あんまりやったことないけど胸キュンの少女漫画原作のドラマとか映画だったら、多分そっち系に頑張ってやってみると思います。
――ぜひ塚原さんが演出する胸キュンシーン、観てみたいですね!
塚原:『中学聖日記』も漫画原作ではありましたけど、キャッキャウフフって感じじゃなかったので。「どうした塚原、何があった?」って言われるぐらいのカット割に変わってれば、本望ですよね。監督としては!