『呪怨:呪いの家』聖美役・里々佳の鮮烈な存在感 『全裸監督』森田望結に続く注目の存在に!?

『呪怨:呪いの家』聖美役の里々佳に注目!

 そんな聖美だが、この後すぐに、思わず目を背けたくなる事態に巻き込まれる。ここから彼女の人生が大きく歪み、彼女自身もがある種の恐怖の対象となっていくのだ。

 物語が80年代から90年代なかばへと時を移すと、聖美もまた90年代スタイルに。苦しい生活のなか一児の母となった彼女の姿は、どうにも痛ましい。女子高生役時代の感情を抑えた演技とは一変して、里々佳の発語の一つひとつには、激しい“怒り”や“悲しみ”といった、負の感情が感じられる。さらに、ソーシャルワーカーの有安を演じる倉科カナのリアクションも大きな助けとなって、聖美の変貌ぶりはより強調されているのだ。里々佳は一つの作品内で、十二分に演じ手としての自身の振り幅の大きさを証明してみせている。

 モデルとしては広く活躍していたようだが、いち俳優としては知る人ぞ知る存在でしかなかった里々佳。このNetflixオリジナルシリーズでの大抜擢と健闘によって、その存在は世界中の人々に知られることとなった。思い返せば、『全裸監督』(2019年)の森田望結、『愛なき森で叫べ』(2019年)の鎌滝えりなども、“Netflixオリジナル作品”で一躍名を知られるようになったと思う。むろん、それ以前に彼女たちにはそれぞれの活躍の場があったはずだが、これらの作品をきっかけにして飛躍したのは間違いないだろう。

 森田は主演を務めたドラマ『あの子が生まれる・・・』(FOD)が間もなく配信開始となるし、鎌滝は主演映画『子どもたちをよろしく』が現在も全国で公開中だ。今回の『呪怨』も含め、いずれも実話を交えて描かれた作品で、それぞれに物議を醸しているのは事実である。しかし、これら“Netflixオリジナル作品”での彼女らのように、“ホンモノの才能”が発見されているのもまた、たしかな事実だろう。これからも多くの“新星”がここから登場するのではないかと思う。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』
Netflixにて、全世界独占配信中
監督:三宅唱
出演:荒川良々、黒島結菜、里々佳、長村航希、井之脇海、柄本時生、仙道敦子、倉科カナ
脚本:高橋洋、一瀬隆重
エグゼクティブ・プロデューサー:山口敏功(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)、坂本和隆(ネットフリックス)
プロデューサー:一瀬隆重、平田樹彦
音楽:蓜島邦明
作品ページ:www.netflix.com/ju-on_origins

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