『半沢直樹 特別総集編』堺雅人が2つの顔を持つ復讐者に 魅力が凝縮された対決シーンの数々

『半沢直樹』魅力的な対決シーンの数々

 そんな半沢の特異なキャラクターが発揮されるのが数々の対決シーン。裁量臨店で小木曽の企みを暴いたことに始まり、竹下(赤井英和)とクラブに乗り込んで東田の鼻を明かす場面や、東田と共謀して意図的な資金流出を行った浅野に決定的な証拠を突きつけるシーンなど、手に汗握るドラマの面白さが凝縮されていた。それに拍車をかけるのが「倍返し」をはじめとする決め台詞だ。「騙したほうが悪いんです。決まってるじゃないですか」、「金さえあればなんでもできると思ったら大間違いだ」など抜群の切れ味で相乗効果を生んでいた。

 職場を離れれば優しい夫の半沢だが、夫婦の対話では、花が「仕事じゃいろいろあるだろうけど、浅野さんだって本当はご家族思いの優しい人なんじゃないかな」と言い、浅野の妻・利恵(中島ひろ子)は夫を助けるように懇願する。復讐劇の王道展開であるが、やり返すだけでなくやられる方の視点を加味することでストーリーに人間的な陰影を与えていた。

 『特別編 前編』で逆転のきっかけは顧客との信頼関係であり、敵を使って敵を欺く知略がスリリングな駆け引きをもたらしていた。冷徹な復讐者と温情あるバンカーという半沢の二面性が最終的に倍返しにつながった。「晴れた日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」と揶揄される銀行。その銀行が生み出した鬼っ子とも言える半沢が、銀行という会社組織にどのように挑むのか。後編は舞台を東京本部に移して、因縁の相手である常務の大和田暁(香川照之)と対決する。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『半沢直樹』特別総集編
『半沢直樹 特別総集編 後編』TBS系にて、7月12日(日)21:00~22:48放送

日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、7月19日スタート 毎週日曜21:00~21:54放送 ※初回25分拡大
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる