『M』『99.9』『逃げ恥』『アシガール』 ドラマ放送延期に対応する、各局の+αの試みを振り返る

再放送ドラマの+αの試みを振り返る

 緊急事態宣言が解除され、放送休止や延期になったドラマの撮影が続々と再開されている。自粛期間中、各局が特別編や過去作の再放送など工夫を凝らす中で意欲的な試みも見られた。

リミックスバージョン『M』と出演者の解説による『ギルティ』

 6月13日に第4話が放送される『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日×ABEMA)では、すでに放送された3話分の放送に副音声のオーディオコメンタリーなどを加えた「リミックスバージョン」を放送。ブレイク前の浜崎あゆみにインタビューしていたという伊集院光や世代的に大ファンの古市憲寿に加えて、第3話では塙宣之(ナイツ)も参加し、『M』を徹底的にいじり倒す企画が話題を呼んだ。

『M 愛すべき人がいて』(c)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.

 『M』がSNS上で反響を巻き起こしている理由について、伊集院は「条件反射でぐっと来ちゃうのを誰かとしゃべりたい」と分析。ストーリー自体の話題性に加えて、役に全力投球する出演者の熱量が視聴者に刺さっている様子を語った。リミックスバージョンの第3話では3人の表情がワイプで抜かれ、バラエティー番組化がさらに加速。その光景はオフィシャル版のSNS大喜利のようでもあり、みんなで盛り上がる新しい視聴スタイルを可視化するものだった。

『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(c)読売テレビ

 ドラマの裏側を明かすという意味では、出演者によるオーディオコメンタリーも人気だ。『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ・日本テレビ系)は、放送済みの第3話を「特別編」として再放送。副音声で新川優愛や町田啓太、小池徹平らキャストによる音声解説を実施した。ドロドロの愛憎劇とキュンキュンする恋愛ドラマの“ドロキュン”ストーリーを演じる当事者の視点や撮影時のエピソードを知ることで、複眼的にドラマを楽しむことができる。

 『M』と『ギルティ』に共通するのは情報量の多さだ。回を追うごとに入り組んでいく背景事情や伏線をフォローすることは、視聴者の脱落を防ぎ、新たな層を呼び込むきっかけになる。もう一点挙げるなら、どちらもケレン味の強い過剰な演技が求められること。愛憎入り乱れる人間ドラマを見て誰かとシェアしたくなるのは人情というものだろう。

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