密室トリックに切り込む『鍵のかかった部屋』の色褪せない魅力 月9とミステリーの相性を象徴する

『鍵のかかった部屋』月9とミステリーの相性

 サスペンスタッチの『ようこそ、わが家へ』や変則的な『貴族探偵』とは異なり、『鍵のかかった部屋』で、ワトソン役の青砥(戸田恵梨香)や芹沢(佐藤浩市)に振り回されつつ(振り回しつつ)、想像の斜め上を行く推理で密室トリックを破る榎本の活躍は、ミステリーファンの見たいミステリードラマを体現するものだ。トレンディ路線から発して、多様な視聴者を取り込みながら作品主義を追求してきた同枠ミステリーのひとつの到達点とも言えるだろう。

 2019年10月期の『シャーロック』でミステリーの源流に到達するなど進化を続ける月9ミステリーだが、重層的なトリックに大胆に切り込んだ『鍵のかかった部屋』は、ミステリーとしての純度の高さによって今なお色あせない魅力を放っている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『鍵のかかった部屋 特別編』
フジテレビ系にて、5月18日(月)21:00~21:54放送
出演:大野智、戸田恵梨香、佐藤浩市ほか
原作:貴志祐介『鍵のかかった部屋』『狐火の家』『硝子のハンマー』(角川文庫)
脚本:相沢友子ほか
演出:松山博昭、加藤裕将、石井祐介
プロデュース:小原一隆
協力プロデュース:中野利幸
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ

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