日本版リメイクの成功例? 国柄の違いがよく現れたTVドラマ『SUITS/スーツ』

国柄の違いがよく現れたドラマ『SUITS』

 また、着用しているスーツに関しても、オリジナル版と日本版では大きく異なる。アメリカ版でハーヴィーが着用しているスーツは高級ブランドのトム・フォードだが、日本で甲斐が着用しているのはTAGARUのオーダーメイドスーツと言われている。

 TAGARUは日本の最先端スーツとして知られているが、比較的リーズナブルなブランドとして有名だ。製作費の関係などもあるかもしれないが、一着のスーツにかける値段の差は歴然である。

 アメリカでは「目に見えるものがすべて」という考え方があり、ビジネスエリートたちは仕立ての良いスーツを着用している。劇中で甲斐が大輔にスーツの指摘をする場面があるが、やはり日本とアメリカの弁護士のサラリーの違いというものも垣間見える次第である。

 日本版『SUITS/スーツ』シーズン2より登場する新キャラクターの上杉一志は、かつて幸村・上杉法律事務所の所長だったが追放されたことにより、姿を消していた人物。しかし、看病していた妻が亡くなったことから、再び事務所へと舞い戻ってくるキャラクターである。

 オリジナル版での上杉ことダニエル・ハードマンは、事務所へと復帰後に、数々の陰謀を企て、乗っ取りを模索するようになる。恐らく、日本版『SUITS/スーツ』でもそのような事態が巻き起こることになるのだろう。一体、吉田鋼太郎がどのような表情を魅せてくれるのか、いまから楽しみである。

 最後に一つ、豆知識になるが、日本版『SUITS/スーツ2』第1話にて、反町隆史演じる三津谷が社長を務める「フューチャー・スカイ」との交渉に現れた「EIFFEL AIR」の重役の名前にパトリック・マクトとある。これはオリジナル版で主演を務めるパトリック・J・アダムスとガブリエル・マクトの名前を掛け合わせたもの。こういった細かい部分のオマージュにも注目していく楽しさがあるドラマである。

 アメリカと日本の国柄の違いがよく現れた『SUITS/スーツ』。オリジナルとは異なる日本独自の魅力を醸し出しながら、これからも視聴者を大いに楽しませてくれることだろう。

■zash
映画・海外ドラマライター。現在は「リアルサウンド」「シネマトゥデイ」「海外ドラマNAVI」ほかで、作品・俳優の紹介、取材レポート記事を執筆。海外ドラマの年間視聴数は2000話を超えている。Twitterブログ

■放送情報
『SUITS/スーツ2』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:織田裕二、中島裕翔、新木優子、中村アン、小手伸也、鈴木保奈美、吉田鋼太郎ほか
原作:『SUITS』NBC Universal製作
脚本:小峯裕之
演出:平野眞、森脇智延、星野和成
プロデュース:後藤博幸、荒井俊雄
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/SUITS2/
公式Twitter:@drama_suits
公式Instagram:@drama_suits

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