『トレイン・ミッション』地上波初放送! 管理職を放棄して暴れ回るリーアム・ニーソンを堪能せよ
結論からいえば、本作は安心安定のニーソン&セラ印の良作だ。セラはサスペンス/ホラーを得意とするが、こうしたジャンルの主人公には、超人的な強さよりも、「焦っている」「嘘をついている」「怖がっている」「強がっている」などなど、もっと細やかな人間の弱さを表現することが求められるもの。この点、ニーソンは数いるアクションスターの中でもズバ抜けている。だってニーソンはアクションではなく、俳優として評価されてきた人物なのだから。いわばアクションスター/ニーソンの最大の武器は「演技力」なのである。セラはニーソンのような中高年がアクション映画に出演することについて、以下のように語っている。「彼が本当にアクション映画をやることを心から愛しているからだと思うよ」(引用:MOVIE Collection|『ラン・オールナイト』ジャウム・コレット=セラ監督インタビュー)。つまり、サスペンス/ミステリーの若き達人と、アクションに燃える名優が出会ったわけだ。良いものに仕上がって当然だろう。本作でもツイストの効いた物語を混乱なく、しかし緊張感を持って最後まで描き切るセラのストーリーテラーっぷりと、開始5分で「この人を応援しよう!」と観客に確信させるニーソンの名演が堪能できる。もちろんニーソンの鉄拳アクションも健在で、特に中盤の疑似ワンカット格闘アクションは必見だ。
60を過ぎているのに、なぜか管理職を放棄して、単身アクション映画で暴れ回るリーアム・ニーソン。複雑なプロットを上手く整理するストーリーテラーであり、リーアム・ニーソンという俳優の魅力を最大限に引き出す若き名人ジャウマ・コレット=セラ。『トレイン・ミッション』は、そんな2人の化学反応を大いに楽しめる1本だ。
■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿し
ています。最近、会社に居場所がありません。Twitter
■放送情報
『トレイン・ミッション』
フジテレビ系にて、4月11日(土)21:00~放送(一部地域を除く)
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン(谷昌樹)、ヴェラ・ファーミガ(深見梨加)、パトリック・ウィルソン(桐本拓哉)、サム・ニール(世古陽丸)、エリザベス・マクガヴァン(寺依沙織)、ジョナサン・バンクス(小林操)、フローレンス・ピュー(島田愛野)
2018年/アメリカ
(c)STUDIOCANAL S.A.S.
公式サイト:gaga.ne.jp/trainmission