綾野剛×星野源から生まれる熱を、『MIU404』の前に『コウノドリ』で復習

綾野剛×星野源から生まれる熱

 通常であれば、春の新作ドラマのスタートが始まる今頃。今期も早くから多くの注目作が発表されていた。綾野剛と星野源が、2017年10月期放送の『コウノドリ』(第2期/TBS系)から2年半ぶりに共演を果たす『MIU404』(※読み:ミュウ ヨンマルヨン)は、『アンナチュラル』の新井順子プロデューサー、塚原あゆ子監督、野木亜紀子脚本の鉄壁チームが手掛け、主題歌に米津玄師と、その筆頭だった。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響によりスタートは延期に。10日は、2015年の『コウノドリ』(第1期/TBS系)から傑作選として第5話が放送される。

 2015年と2017年の2期にわたって放送された『コウノドリ』は、雑誌『モーニング』(講談社)で連載中の鈴ノ木ユウ原作による同名漫画が原作。周産期医療センターを舞台に、妊娠、出産という奇跡に真摯に向かう人々を見つめたヒューマン医療ドラマだ。綾野が主人公の産婦人科医・鴻鳥サクラを演じ、同期の四宮春樹を星野が演じた。「未受診妊婦」「切迫流産」「高齢出産」「口唇口蓋裂」「子宮頸部腺がん」「産後うつ」「ダウン症候群」といったテーマを扱い、細心の注意を払いながら本物の乳児を登場させて、命のリアルをより一層強く感じさせながら、それぞれのケースを描いた。

 サクラは「ペルソナ総合医療センター」で働く産婦人科医であり、同時に「BABY」という名で活動する謎多き天才ピアニスト。自らの誕生後まもなく母を病気で亡くし、養護施設で育った。演じる綾野は、今でこそバラエティ番組で見せる素顔や、共演者たちのコメントなどから、人懐こく柔らかな人柄が知られるようになった。だが、2015年当時は、すでに連続テレビ小説『カーネーション』(NHK総合)でヒロインの恋の相手を務めて若い女性からおばあちゃんまでときめかせていたものの、『クローズZERO II』、ドラマ『Mother』(日本テレビ系)などに始まり、主演映画『シャニダールの花』や培ってきた演技力を爆発させた『そこのみにて光輝く』と、負のオーラを感じさせる、もしくはクールでミステリアスな印象の強い役者だった。

 綾野があまりにも自然にサクラを演じきったため、今考えるとサクラ=綾野に何の違和感もないが、連続ドラマ単独初主演となった『コウノドリ』での産婦人科医サクラは、当時はそれまでの綾野のイメージとは違うキャラクターだったのである。

 生まれてくる子供たち、母親たちに寄り添う医療を心掛け、柔らかな微笑みで接するサクラ。誕生の瞬間には赤ちゃんに心の底から「おめでとう」と語りかける。綾野の優しい瞳、そして優しい声を初めて感じたという視聴者も多かったのではないだろうか。また、ピアニストとしての顔を演じるにあたっては、監修のピアニスト清塚信也から手ほどきを受け、実際にピアノが弾けるまでに上達。ストイックなアプローチを行った。また綾野は、第2期スタートの際に公式サイトで、サクラが生きているうえで一番大切にしている感情は「怒り」だとコメント。「医者は神様ではありません。全部が完璧に出来るわけではない。サクラはそういった悔しさを常に怒りとして持っている人だと思います。僕はそれを原動にしてサクラを生きています」と語っている。そうした思いが奥にあるからこそ、サクラの優しさに深みを添えられているのだろう。

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