考察カルチャーがドラマの未来を左右する!? 今期ドラマに見る、『あな番』以降の深い関係性
竹内涼真演じる主人公が、31年前と現代を行き来しながら冤罪事件の真実を探る『テセウスの船』(TBS系)。3月8日放送予定の第8話では、事件当日の朝を迎えて、犯人との駆け引きもさらに激しくなることが予想される。
一方、インターネット上での真犯人の正体に関する考察も活発化している。原作漫画と真犯人が異なることがファンイベントで事前に告知され、番組公式Twitterも「#テセウスの船真犯人は誰だ」「#犯人考察」などのハッシュタグを使って積極的に呼びかけるなど、ドラマ終盤を前に盛り上がりに拍車がかかっている。
また、吉高由里子演じる週刊誌記者が、自身の出生の秘密を知る『知らなくていいコト』(日本テレビ系)でも、意外性のあるストーリー進行を受けて、今後の展開に関する考察がSNSやインターネットを通じて多く上がっている。
視聴者を巻き込んだドラマの「考察祭り」はここ最近の大きなトレンドだ。最初に謎が提示されるミステリージャンルで、読者が作者と知恵比べをするのは珍しいことではないが、連続ドラマの考察トレンドが決定的になったのは、2019年4月から9月にかけて放送された『あなたの番です』(日本テレビ系)だった。
秋元康企画・原案による同作は「毎週、死にます。」というキャッチコピーを掲げ、とあるマンションで起きた架空の交換殺人ゲームを描いたミステリー。不穏な設定となかなか進展しない犯人捜しに、当初、視聴率は伸び悩んだが、第2章の「反撃編」に入ると次第に話題を呼び、最終話では視聴率19.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。流行語大賞の候補に選ばれるなど、一大センセーションを巻き起こした。
『あな番』の考察を主導したのは、Twitterや匿名掲示板へのリアルタイム視聴による投稿、また個人が運営するブログで、これに各媒体も追随。公式アカウントへのリプライやニュースサイトのコメント欄への記載も含めると、インターネット上で網羅的な広がりを見せた。考察の内容としては、犯人探しやトリックの追及から、それまでの放送で示された伏線の指摘、また演技や小道具の分析など多岐にわたった。