『あしたの家族』母となった宮崎あおい、演技へのストイックさは健在! 永山瑛太らとのかけ合いも見どころに
今回『あしたの家族』のプロデューサーである石井ふく子とは、2018年の『あにいもうと』に続き二度目。石井と言えば橋田壽賀子とのタッグで『渡る世間は鬼ばかり』をプロデュースするなど、長年家族をテーマにした人情ドラマを手がけてきた第一人者だけに、相手を思いやる演技を得意とする宮崎は適任。ただこの作品では、喧嘩っ早く不器用な下町っ子は今まで見たことがない役柄だったので新鮮であったが、それ以上に、大型トラックを運転している女性の役だったので、どんな人物なのか知りたいがためにプロデューサーと監督に相談して大型免許を取得したり、役になりきる為に髪の毛を切りたいと直訴したりと、役作りに徹底する女優魂を見せていたことが大きな話題となり、宮崎の演技に対するストイックさは健在。
そして『あしたの家族』で石井に二作連続で抜擢された宮崎への信頼度は絶大だ。宮崎演じる小野寺理紗は4年前の結婚式当日に新郎に逃げられたという過去を持ち、広い家で父・俊作(松重豊)と母・真知子(松坂慶子)との3人暮らし。そこに婚約者の兵頭幸太郎(永山瑛太)を連れてくるが、彼は父親の元部下であり現在の上司であった。この複雑な関係の中、2人の恋の行方はどうなるのかという、石井ふく子が得意とする王道のホームドラマ。名優でありユーモアのある演技をする4人なだけに、それだけでも面白いのは間違いないだろう。
その中で宮崎が演じる理紗役は「本当に普通の女の子」と答えているが、役者の中では普通の役が一番難しいと言われているだけに、常に「役者」を貫いてきた宮崎がどう表現してくるのか。そして今回の役作りに関して台本に「お母さんみたいになりたい」というセリフがあったことで、「ひたすら松坂さんのキュートさを盗みたいと思って現場で過ごしていました」と松坂をずっと観察して役作りをしたというのが面白い。宮崎自身が一児の母親になったことも20代の頃の演技から何か変化があるのか、そこが一番の見所だと考える。
家族の形が多種多様になり、ホームドラマの立ち位置が難しくなりつつある昨今、このドラマはどんな家族の形を描き、令和の時代の家族に一石を投じ希望を見出しているのか、大人になった宮崎あおいの名演技に注目したい。
※宮崎あおいの「崎」は「たつさき」が正式表記。
(文=本 手)
■放送情報
新春ドラマ特別企画『あしたの家族』
TBSにて、2020年1月5日(日)21:00~22:48放送
出演: 宮崎あおい、瑛太、松坂慶子、松重豊
脚本:浪江裕史
演出:土井裕泰
プロデューサー:石井ふく子
製作著作:TBS
(c)TBS