『グランメゾン東京』はまさにONE TEAM “一流の”役者・料理・演出を揃える木村拓哉の凄み

『グランメゾン東京』 才能が集まる木村拓哉の凄み

 第1話はパリロケだったし、とにかく豪華なドラマなんである。木村拓哉をはじめとして、出演者もそれぞれが主役を張れる一流アクターぞろい。これはやはり木村拓哉が主役だからこそ実現できる企画なのだと思う。木村拓哉の凄さは、関わるプロジェクトを一流にすることだ。木村拓哉だから一流の才能が集まってくるのだ。

 何の変哲もない台所のテーブルにクロスをかけてそこで漬物とワインで軽く飲むという姿も、木村拓哉、鈴木京香、沢村一樹だととってもおしゃれ。8話で、京野が倫子に恋心を抱いているところが描かれたが、基本、色恋に重きが置いてないのも現代的。8話で、倫子の家を出て京野の部屋に居候した尾花が、部屋に置かれた「美味しんぼ」全111巻を見て好きなエピソードについて語る、仲良し男子的エピソードも良かった。鈴木京香は色っぽいのに不思議と仲良し男子を邪魔しないわきまえがあるのがいい。彼女は能力的に男性陣と遜色ないうえ、明るさと温かさの癒やしはちゃんとあって、尾花のいいビジネス・パートナーになっている。

 日本家屋を洋風にリノベした倫子の家のセンスもいい。キッチンがさりげなくおしゃれで、参考にしたい箇所がそこここに。壁のタイルにメモ書きしているところなんてすぐ真似したくなった(どうやって消してるの?)。鈴木京香のシンプルなイヤーカフも気になる。でもそれもこれも、すべて木村拓哉、鈴木京香、沢村一樹だからかもしれないのだが、こういうスタイル、マネしたい! という欲求がドラマを見て湧くのはいいことだ。欲求は生きるエネルギーだから。『グランメゾン東京』は食を通して、強烈な生きる力を視聴者にくれるドラマになっている。

■木俣冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメ系ライター。単著に『みんなの朝ドラ』(講談社新書)、『ケイゾク、SPEC、カイドク』(ヴィレッジブックス)、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』(キネマ旬報社)、ノベライズ「連続テレビ小説なつぞら 上」(脚本:大森寿美男 NHK出版)、「小説嵐電」(脚本:鈴木卓爾、浅利宏 宮帯出版社)、「コンフィデンスマンJP」(脚本:古沢良太 扶桑社文庫)など、構成した本に「蜷川幸雄 身体的物語論』(徳間書店)などがある。

■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、 沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる