『グランメゾン東京』の“チーム最年少” 芹田公一の姿と重なる、寛一郎の柔軟性
そういった役者として以前の素質はもちろんだが、寛一郎はこの2作の前に、瀬々敬久監督による渾身の一作『菊とギロチン』(2018)にメインキャストの一人として参加している。公開されたのは昨年のことだが、撮影は『ここさけ』『ナミヤ』よりも前だったのだ。若手からベテランまで数多くの俳優が参加した本作は、大手制作会社から離れた、いわゆる自主制作映画でありながら、スタッフにも名だたる映画人が顔を揃えている。
とはいえ、自主映画となれば潤沢な予算はないはず。ここで必要とされるのが、“共同作業”や“チームプレー”に対する意識のあり方なのではないか。撮影当時の現場が過酷なものであったことは想像に難くないが、寛一郎は初演技ながら先輩俳優たちを相手に渡り合っている。もちろん、それが実現できたのは、キャスト・スタッフら先人の方々の支えがあってのことなのだろう。ここに彼の“チームプレー”の上手さの原点を見出すことができる。これは今作『グランメゾン東京』でも同じこと。キャリアの違う俳優たちの中に最年少の寛一郎は柔軟に溶け込み、レストラン「グランメゾン東京」という“チーム”を築き上げているのだ。
佐藤浩市を父に持ち、三國連太郎を祖父に持つ寛一郎なだけあって、将来を嘱望されてやまないところだろう。今作のようにお茶の間でその顔を広めつつ、今年は『チワワちゃん』を皮切りに、彼の出演映画が続けて公開されている。いずれも比較的規模の大きくはない映画ではあるが、着実に役者としての心得を身につけているのではないだろうか。このあたりが、寛一郎と芹田公一というキャラクターが重なるゆえんであり、期待してしまう理由である。
■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter
■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、 沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/