坪田義史監督が映画『だってしょうがないじゃない』に込めた願い 「発達障害の社会的受容に繋げたい」

坪田義史監督が語る、創作を通した願い

「まず障害を受容して、その上で、次に進んでいくという願い」

ーー劇場公開も始まりましたが、ここまでの反響を受けていかがですか?

坪田:この映画のフレームの中に自分も入りこんでいるので、上映後に自分が出ていって、観客の方々と対話をするところまでを上映活動として僕は捉えています。その中で障害を持つ当事者の方や、身の回りに障害を抱える方がいる人、映画ファン、いろんな方のいろんな意見が多様に飛び交うところに今いるんです。小さい映画なので、大ヒットというわけではないんだけど、見ていただいた人の反響をこれからどんどん広げていきたいと思っています。

ーー見終わったあとまことさんの今後、映画に切り取られなかったその先がどうしても気になってしまいます。

坪田:置き去りにされてしまうような感覚。そのカタルシスというか、映画が終わり現実に戻っていく。現状、まことさんは自立した生活を福祉的サポートを受けて穏やかに暮らしています。『だってしょうがないじゃない』というタイトルは、諦めのように聞こえるかもしれないけど、まず障害を受容して、得意不得意、出来る出来ないを知り、その上で、次に進んでいくという願いを込めています。

ーー本作の創作活動を通して、今どのような考えですか。

坪田:発達障害というものはすごく曖昧な定義で、個性とみなすか障害とみなすといった議論が今も行われています。どこに区分があるのか、そういったものはグラデーション、スペクトラム、連続体の部分なので、明確な線引きをするのが難しいんです。僕が一つ作品を作れば個性や障害特性と言われるかもしれない。でもその一方で、生活に支障をきたし生きづらさを抱えて孤立してしまったりする方も多数いるので、社会が発達していくことにつれて、何かズレや不具合、バグが生じる時代に突入しているのではないかと思います。

(取材・文=安田周平)

■公開情報
『だってしょうがないじゃない』
ポレポレ東中野ほか全国公開中
企画・監督:坪田義史
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金、ACY アーツコミッション・ヨコハマ
英題:What can you do about it
配給:サンディ株式会社(Sundy inc.) 
2019年/日本/カラー/16:9/119分/ステレオ/DCP & Blue-ray
※本作はバリアフリー字幕が付いています
公式サイト:https://www.datte-movie.com/

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