『ハル ~総合商社の女~』の“デキる女”は当たり役!? 主演作相次ぐ中谷美紀が支持され続ける理由

中谷美紀が支持され続ける理由

 スクリーンの中でまたはテレビの画面を通して、中谷美紀を観るときにいつも圧倒されるのは彼女のまとうオーラだ。登場した瞬間、場の空気が一気に変わるというか塗り替えられるような迫力がある。決して大げさな演技をしているわけではない。ただ自身の見せ方、役への理解を極限まで突き詰めて本番に臨んでいるのが伝わってくる。ストイックで真面目。言うなれば職人気質の女優なのだろう。舞台『黒蜥蜴』で中谷と共演した井上芳雄はこのように語っている。

「演技のサイズや質感がとてもリアルで、等身大というのでしょうか。それを無理に大きくしたり、大きい声を出したりはしない。でもその中で、どんどん役を深めていって、感情が爆発するところもあれば、本当に小さい声でやるところもある。舞台だけやってきた方の演技とは違うし、映像の演技でもない。美紀さんならではの表現の道がそこにはあるのだなと感じます」(参考:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO26408000R00C18A2000000/

 等身大でリアル。過剰ではないのにインパクトのある演技。多くの作品で主演/ヒロインを務めながら磨き上げた独自の演技哲学が、中谷美紀という “ブランド力”を磨き上げてきたのだろう。

 2020年に配信を控えるNetflixオリジナルシリーズ『Followers』では、蜷川実花とタッグを組み、金髪の女性写真家というまるで蜷川本人を彷彿させる人物を演じるという。本作は東京で生きるさまざまな立場の女性たちがSNSを通して交錯し、自分らしい生き方を模索していく物語。クランクアップの会見で中谷は、「年齢や性別を何かを諦める理由にしない人間でありたいなと思いました」と、作品から受け取ったメッセージについて語ってみせた。まさに「四十にして或(くぎ)らず」。中谷美紀の女優道は、まだ見ぬはるかな高みへと続いている。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

■放送情報
ドラマ Biz『ハル 〜総合商社の女〜』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
BSテレ東にて、毎週金曜21:00〜放送
出演:中谷美紀、藤木直人、白洲迅、忍成修吾、山中崇、加治将樹、渡辺邦斗、寺田心、奥田瑛二
脚本:龍居由佳里、本田隆朗
音楽:ワンミュージック
主題歌:wacci「Baton」(エピックレコードジャパン)
オープニングテーマ: 琴音「白く塗りつぶせ」(ビクターエンタテインメント Colourful Records)
チーフプロデューサー:浅野太(テレビ東京)
プロデューサー:稲田秀樹、戸石紀子(テレビ東京)
プロデューサー:栗原美和子、高田良平(共同テレビ)
演出:土方政人(共同テレビ)
製作:テレビ東京、共同テレビ
(c)テレビ東京
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/haru/

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