波瑠、中川大志、松下由樹のリラックスした空気感 『G線上のあなたと私』仕事と恋愛以外の幸せ

『G線上のあなたと私』仕事と恋愛以外の幸せ

 「バイオリンを弾いてみたい。あの曲、弾きたいって思った、あの感情以外、前に進めるものが、何もないんです」

 火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)が、いよいいよ幕を開けた。原作は、いくえみ綾の同名漫画。そして主演を務めるのは波瑠、とくれば同じく火曜ドラマで制作された『あなたのことはそれほど』(通称、『あなそれ』)を思い出す方も少なくないはず。

 本作は『あなそれ』のスタッフが再集結している。主演女優、そして原作漫画の活かし方を十分に心得ているチームだけに自ずと期待も高まる。そんな制作陣への信頼感からだろうか、波瑠の演技は主人公・也映子のキャラクターも相まって、実に清々しくサッパリとした印象。いい意味で肩の力が抜けた自然体な雰囲気に、共演者たちもリラックスして、コミカルな掛け合いを見せている。

 人の内側へ内側へとジリジリと掘り下げていく、いくえみ綾漫画らしさはしっかりと感じられながら、軽やかな会話劇が火曜の夜に見るドラマとしてはちょうどいい心地よさ。また、『あなそれ』で不倫相手を演じた鈴木伸之が、本作で再び恋愛関係に問題を感じるキャラクターを演じているのも、もしかしたら火曜ドラマファンへの目配せかもしれない。

 物語の舞台は、大人のバイオリン教室。結婚直前にフラれた元OLの也映子(波瑠)、兄の元婚約者に恋心を寄せる大学生の理人(中川大志)、姑との同居に夫の不倫と悩みの尽きない日々を過ごす主婦・幸恵(松下由樹)。それぞれの生活の中では、決して出会うことのなかった男女3人が、バイオリンを通じて新たな友情を育んでいくというストーリーだ。
結婚は破断になり、仕事も寿退社の体裁を保ったまま辞めてしまった也映子。これから何を目的に生きたらいいのか、呆然としていたときに聞こえてきたのが、バイオリン講師・眞於(桜井ユキ)の弾く「G線上のアリア」だった。これからプロを目指すわけでもない。お金だって余裕があるわけではない。ただ純粋に弾けるようになりたい、そう思った也映子は大人のバイオリン教室の門をたたく。

 そして、たまたま同じ時間、同じ場所に居合わせた幸恵もまた「私も同じよ。バイオリン弾いてみたいって思ったの。あのときここで。今まで一度もそんなこと、思ったことなかったのに」と、日常を変えるきっかけをバイオリンに見出していた。

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