『ボイス』唐沢寿明と増田貴久の兄弟愛 シリアルキラー・伊勢谷友介の悲劇的な過去も明らかに
「これは兄貴から弟への最後の言葉だ。自分の心の声を裏切るな」
『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)。第9話にしていよいよ目が離せない展開になってきた。樋口(唐沢寿明)を兄貴と慕い、背中を追い続けてきた透(増田貴久)は、なぜ彼を裏切ることになってしまったのか。そしてまた、本郷雫(伊勢谷友介)が狂気的な殺人鬼と化してしまった理由とは。彼らの過去が語られるなかで明らかになるのは、なんとも悲劇的で、逃げ場のない現実。すべてを知った樋口は、いかようにして彼らをそこから救い出すことができるのか。
冒頭、本郷ホールディングスが関わる工事現場にて崩落事故が起こる。ガス漏れによって爆発の危機が迫るなか樋口は、目の前にいる生存者の救出の手を止めない。そこには、樋口にしっかりとくっついていき、サポートする透の姿も。彼らの奮闘の末、最後に現場監督の救出も成功。戻ってきたあとに彼の娘である女の子の安堵した表情を見てにこやかに微笑み返す透の姿がなんとも印象的に映る。
警察内部の内通者が透であるとわかった樋口は、彼にこう言葉を投げかける。「結果が目に見えていても、俺たちは負けちゃダメだ。俺とお前は負けちゃダメなんだ」「誰だって人は脆く弱い。でもな、どれだけ怖くても、心が張り裂けそうなくらい苦しくても、そこを耐えて耐えて、最後まで耐え抜いて、諦めるな。立ち向かうんだ!」。兄貴についてきた弟分
はそこで改めて気づくのだろう。無謀とも言える戦いに勇気を持って挑んできた、樋口の存在の偉大さに。
そもそも透が樋口を裏切ってしまったのは、上杉(手塚とおる)にハメられていたことが原因。詳細には語られていないが、あの事件現場に都合よく上杉がいたということは、透の父親に睡眠薬かなにかを飲ませて事故を誘発し、その現場をカメラで押さえて透を引き込むという算段だったのだろう。そこに偶発的な致死事故も重なって逃げ出せなくなった透は、兄貴に相談もできぬままに上杉の言いなりになってしまう。それから3年の時を経て自分の弱さに気づいた透は、雫を止めるためにひとりで彼のもとに向かうものの、拳銃を向けてもそれを撃つことはできず……。